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2023年12月23日 (土)

爆発的展開となった三菱重工の軍需部門

 
 岸田政権の大軍拡が動き出して三菱重工の軍需部門が爆発的な展開を見せています。その実態を三菱重工自身が「防衛事業説明会」(2023年11月22日)で明らかにしました。
 
三菱重工の「防衛事業説明会」(2023年11月22日)
 4年前の「航空・防衛・宇宙ドメイン事業戦略説明会」(2019年7月12日)では従来の延長線上に戦略を描いていましたが、今回はすっかり変わりました。従来の延長線ではない爆発的展開です。
 
事業規模は2倍以上に
 防衛事業説明会で防衛・宇宙セグメント⻑の江⼝執行役員は次のように述べています。
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(これまで)概ね5,000億円弱の事業規模でほぼ伸びなかったというところでありますが、防衛費の倍増を受けて、年間の事業規模を2倍、つまり1兆円規模に伸ばしていきたいと思っています。その次の事業計画については、さらに伸ばしていきたいと思っています」と述べています。
 具体的には、現状の5000億円/年規模の売上げが、2024~26年度に1兆円/年規模となり、2027~29年度には1兆円/年以上と想定しています。
(三菱重工の「防衛事業説明会」より)
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2倍以上とは、社長は予想していなかった
 泉澤社長は今年の4月、日本の防衛予算が2倍化しても三菱重工の軍需部門の事業規模が2倍にはならないと発言していました。
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 防衛に関しては、国がどのような装備品をいつ必要とするかによるため、予想が難しい。但し、防衛予算がGDP比1%から2%になれば、それに呼応して当社の事業規模が2倍になることはないと思うが、10~20%の増加率ということでもないと思う。(2021事業計画推進状況説明会で泉澤社長 2023年4月5日)
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 社長にとっても爆発的展開のようです。
 
2016年に描いた夢を超える
 今から7年前の「防衛・宇宙ドメイン事業戦略説明会」(2016年6月10日)では、2018年から「飛躍のステージ」に入って、弓なりのカーブを描いて軍需部門の事業規模が伸びていくという夢を描いていました。
 振り返ってみますと、武器輸出を原則自由化する防衛装備移転三原則が閣議決定されたのが2014年4月。その1年前から安倍首相(当時)は武器の売り込みに海外を奔走していました。2015年10月には防衛装備庁が発足し、武器輸出を目指して軍需企業の応援に力を入れました。
 このような政府の並々ならぬ奮闘努力を見て、三菱重工が軍需部門の事業規模が大きく伸びていく夢を描いたのも当然のことかもしれません。しかし、現実は「概ね5,000億円弱の事業規模でほぼ伸びなかった」のです。
 
SIPRIのデータで確認
 三菱重工の決算報告は軍需部門を航空・防衛・宇宙部門をひとまとめにしていて、軍需部門だけの売上げを公表していませんので、SIPRI(ストックホルム国際平和研究所)のデータベースを見てみたいと思います。そこには世界トップ100の軍需企業の売上げがドル表示で出ています。
      三菱重工軍需部門の売上げ
2019年 391億ドル 約4300億円(110円/ドルで換算)
2020年 442億ドル 約4860億円(110円/ドルで換算)
2021年 406億ドル 約4470億円(110円/ドルで換算)
2022年 325億ドル 約4225億円(130円/ドルで換算)
 このようにSIPRIのデータは、「概ね5,000億円弱の事業規模でほぼ伸びなかった」ことを裏付けています。
 
航空・防衛・宇宙部門の実績と見通し
 航空・防衛・宇宙部門をひとまとめにしたデータも見ておきたいと思います。
          受注高   売上収益   事業利益
2021年度実績 7,742億円  6,052億円   240億円 
2022年度実績 7,036億円  6,194億円   399億円
2023年度見通し 1.0兆円    0.7兆円    400億円 期首(5月)の見通し
2023年度見通し 1.8兆円     0.7兆円    500億円 期央(11月)の修正見通し
 期首(5月)の見通しが半年後に、受注高が80%増! 売上収益は変わらないのに事業利益が25%増!100億円増です! トンデモナイことです。
 
敵基地攻撃兵器の整備を前倒し
 このようなトンデモナイことが起こったのは、受注高80%増については岸田政権が敵基地攻撃兵器の整備を前倒ししたことが考えられます。
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 木原稔防衛相は10日の記者会見で、2026年度からの配備を狙う国産の敵基地攻撃兵器=長射程の「スタンド・オフ・ミサイル」全種類について、整備の前倒しを検討するよう指示したことを明らかにしました。4日(日本時間5日未明)のオースティン米国防長官との会談で、米国製長距離巡航ミサイル「トマホーク」を1年前倒しで25年度から取得することで一致したのに続き、違憲の敵基地攻撃兵器取得に前のめりの姿勢をあらわにしました。
(赤旗 2023年10月11日「国産長射程ミサイル 全種類 整備前倒しへ」)
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利益率を大幅引き上げ・世間の常識では考えられない
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 防衛省は、国内の防衛産業を支えるため、装備品調達で同省が算定する利益率を最大15%にする仕組みを2023年度から導入する。各企業の品質管理などの取り組みをポイントで評価し、利益率に反映させる。防衛産業からの企業の撤退防止につなげる狙いがある。
 浜田靖一防衛相は1月30日の衆院予算委員会で、新たな利益率算定の方法を説明し、「国内防衛産業は防衛力そのものだ。基盤の強化は急務だ」と意義を強調した。
(時事通信 2023年2月4日「装備品利益率、最大15%に=企業撤退防止へ防衛省」)
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 これまで防衛省が発注する武器の利益率は平均8%と言われていますから2倍近くになります。三菱重工側から見れば、作るもの・納入するものが変わらないのに、お客さんから突然「価格を100億円引き上げなさい。全部利益にしなさい」と言われたようなものです。
 常識的に考えると、民間企業は少しでも高く売りたいと思い、お客さんは少しでも安く買いたいと思って価格交渉するのですが、防衛省がお客さんになると世間の常識では考えられないことが起こるということです。
 
社長「人員を2~3割増やす」「生産設備の増強も」
 軍需部門がこのような爆発的展開となることを予想していなかった社長は、報道各社のインタビューに応じて「しっかり対応」すると次のように話しています。
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 政府の防衛予算増額を受け、同社の防衛事業の売上高は2026年度に現状の2倍の1兆円規模になる見通しで、泉沢氏は「国内では防衛のリーディングカンパニーと自負しており、国の要請にしっかり対応できるように体制をつくっていく」と述べた。
 現在、同事業の人員は6000~7000人程度。神奈川や愛知、兵庫、岡山、長崎各県の工場で戦車や戦闘機、ミサイル、護衛艦などを製造している。今後、社内の配置換えや中途採用などで人員を2~3割増やす方針で、生産設備の増強も必要に応じて検討するという。 
(時事通信 2023年12月7日「防衛1兆円へ体制整備 予算増に「しっかり対応」 三菱重工社長」)
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     ◇
 
 軍需部門が爆発的展開になっているのは三菱重工だけではありません。SIPRI(ストックホルム国際平和研究所)のデータベース・世界トップ100の軍需企業に出てくる川崎重工・IHI・三菱電機なども軍需部門の事業規模の拡大、利益率アップの計画が報じられています。
 莫大な税金が注ぎ込まれて危険な方向へ突進して行くことになります。これを止めるに、自民党政治終わらせる国民的大運動を起こさなくてはならないようです。
 
   日本共産党三菱重工広製支部

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