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2023年10月27日 (金)

JERAの「CO2を出さない」火力発電 ???

 (株)JERAとは、東京電力フュエル&パワー(株)と中部電力(株)が50%ずつ出資して設立した企業で、主な事業は火力発電とガス事業です。
 (株)JERAのホームページには―世界が注目する 「CO2を出さない」火力発電―が出ています。中を見てみますと、石炭でも天然ガスでもアンモニアとか水素を混ぜて燃やせば、混ぜた分だけCO2排出量が減少し、混ぜる割合を上げていってアンモニア・水素を100%に、すなわち石炭や天然ガスをゼロにすれば「CO2の出ない火」となり、「CO2を出さない」火力発電が実現するというものです。
 確かに、アンモニア(NH3)にも水素(H2)にも炭素(C)がありませんから燃やしても二酸化炭素(CO2)は発生しませんが、・・・。問題は「アンモニアとか水素を作るときにCO2は出ないのか」です。
 
グリーンウォッシュ?
 「グリーンウォッシュ」とは、NPO法人気候ネットワークのホームページには次のように書いてあります。
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 ここ十数年、国際的な環境保全への要請の高まりや、日本の消費者の関心の広がりを受けて、「エコ」「グリーン」「サステナブル」といった言葉で自社の商品や活動をアピールする企業が増えています。一方で、環境にやさしい商品をアピールしたり、CSR の一環として環境保護活動などに取り組むことで環境にやさしい企業とアピールしながら、それらが実態を伴っていないことも少なくありません。このように、実態を伴わない環境配慮で自社や商品のイメージを高め、消費者を誤認させる広報戦術は「グリーンウォッシュ」と呼ばれます。
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気候危機対策でもグリーンウォッシュが問題に
 さらに、NPO法人気候ネットワークは気候危機対策でもグリーンウォッシュが深刻な問題になっていること、ヨーロッパのNGOが、主要なグローバル企業25社の気候変動対策は実態に欠け、消費者や行政を惑わすことになりかねないと指摘する報告書を発表したと伝えています。
 つづいて、日本の問題を次のように述べています。
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 日本では、火力発電所を多数運用する電力会社が石炭火力発電所の廃止年を提示しないまま、2050年ネットゼロを掲げ、「発電時にCO2 が出ない」ことを強調しています。その内容は、火力発電所での水素・アンモニア混焼というものです。気候ネットワークと環境法律家連盟は、JERA による「2050 年カーボンニュートラル」に向けた「CO2が出ない火」といった広告はグリーンウォッシュであるとして日本広告審査機構(JARO)に中止勧告を申立てたところです。
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アンモニア・水素の製造段階でCO2が出ます
 まず、水素の製造ですが、資源エネルギー庁のホームページには、水素には「グレー」「ブルー」「グリーン」があって
(1)化石燃料から水素を作るときにCO2を大気中に放出して作った水素が「グレー水素」
(2)CO2を大気中に放出せずにCO2回収・貯留して作った水素が「ブルー水素」
(3)化石燃料を一切使わずに、再エネの電気を使って水を電気分解して作った水素を「グリーン水素」
と説明しています。
 次に、アンモニアの製造は、水素(H)と大気中の窒素(N)を反応させて合成します。このとき、「グリーン水素」を使えばアンモニアの製造段階でも燃焼の段階でもCO2は出ませんが、とんでもなく高コストのアンモニアになってしまいます。それで作った電力はとんでもなく高いものになるでしょう。再エネで作った電力で、アンモニアを作り、そのアンモニアで発電する・電力にもどすことになりますから。
 
三菱重工の高砂水素パーク
 三菱重工は水素の製造から発電までを実証する「高砂水素パーク」を建設しました。その基本方針としては、再エネの電気を使って水を電気分解してグリーン水素の製造や、水の電気分解でも化石燃料の使用でもない水素の製造を研究・開発しています。
 それと同時に三菱重工は、アンモニア・水素の混焼も研究・開発しています。石炭にアンモニアをまぜて燃やす混焼の段階ではCO2を排出します。では、石炭の比率を減らして、アンモニア専焼(石炭ゼロ)の技術が実用化されたらどうでしょうか? 高砂水素パークではグリーン水素を使って研究開発していますが、お客さんである電力会社はコストの高いグリーン水素は使えずにグレー水素を使うしかないでしょう。
 結局、石炭にアンモニアを混ぜて発電する技術は、CO2を減らす見せかけとなるだけで実際は減らすことができないというトリックの役割を果たすことになり、結果的に石炭火力の延命につながります。
 天然ガスに水素を混ぜてガスタービンを回して発電する技術を開発し、将来的には水素専焼のガスタービンの技術開発も三菱重工は考えています。グリーンな水素をつくることに高いコストがかかりますから、結局、天然ガス火力の延命につながるという点でアンモニアと同じことになります。
 
CCS(CO2の分離回収・輸送・貯留)も高コスト
 CCSは三菱重工の得意分野です。基礎技術は完成しているようですが、どこに貯留するのかという貯留敵地探しの問題とコストの問題があります。
 コストについては、CO2を分離・回収する設備の建設コストと操業コスト、貯留敵地があったとしてもそこまでの輸送コスト、CO2を圧入するコスト、漏れ出ないよう長期にわたって管理するコストが必要になります。
 このようにして、結局、CCSも化石燃料を使用する発電の延命につながります。
     ◇
 石炭や天然ガスという化石燃料と決別して、本格的に再エネを使用する技術の開発に専念する。それが、三菱重工が世界の人たちからリスペクトされる道ではないでしょうか。それは、地球温暖化を根本的に解決する道でもあります。
 
   日本共産党三菱重工広製支部

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