« 本格的な軍産複合体へ前進? | トップページ | JERAの「CO2を出さない」火力発電 ??? »

2023年10月 6日 (金)

セキュリティクリアランス制度は経済面での戦争準備

 岸田政権は、経済・技術分野における機密情報を統制するセキュリティクリアランス制度を作ろうとしています。この制度の危険性に警鐘を鳴らしておられる東北大学名誉教授・井原聡さんの見解を前回のブログで紹介しました。
 今回は、この制度に関する有識者会議がまとめた「中間論点整理」を中心に、その中身を見ておきたいと思います。

 

有識者会議とは
 正式名称は「経済安全保障分野におけるセキュリティ・クリアランス制度等に関する有識者会議」。
 出席者は、第1回会合の議事要旨を見ますと、委員として大学教授など10名と、政府側として高市早苗経済安全保障担当大臣をはじめ11名。
 セキュリティ・クリアランス制度等について検討を行うため、今年の2月から5月にかけて6回の会合を開き、6月6日に「中間論点整理」をまとめました。
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/keizai_anzen_hosyo_sc/index.html

 

制度の必要性
 「中間論点整理」はこの制度の必要性について次のように述べています。
 「安全保障の概念が、防衛や外交という伝統的な領域から経済・技術の分野に大きく拡大」しているので「経済安全保障分野においても、厳しい安全保障環境を踏まえた情報漏洩のリスクに万全を期す」必要がある。
 要するに、国家機密情報の統制を軍事分野だけでなく、経済・技術の分野に大きく拡大する必要があるということです。そのため、この制度が実施されると多くの企業・国民に関係してくることが考えられます。
 三菱重工では、軍事分野で働く人たちが情報統制を受けていますが、経済・技術の分野に拡大されると軍事分野でなくても新技術・新製品の開発などに携わる人たちにまで広がる可能性が出てきます。

 

同盟国・同志国との間で
 さらに、この制度の必要性について、「こうした形での情報保全の強化は、安全保障の経済・技術分野への広がりを踏まえれば、同盟国・同志国との間で・・・」と、同盟国・同志国との間で情報管理をして、敵対する国に情報が流れないようにすることが前提になっています。
 そのため、この制度は軍事分野だけでなく、経済・技術の分野においても、アメリカを盟主とするブロック化を進めることになります。それはバイデン政権が、台頭する中国との競争に勝利するために日本をより深く米中対立に組み込むことになり、日本に経済面での戦争準備を進めさせることになる、と言ってもいいのではないでしょうか。

 

機密情報にアクセスする必要がある者の信頼性を確認
 「中間論点整理」の「新たな制度の方向性」では、「CI(注)にアクセスする必要がある者(政府職員及び必要に応じ民間事業者等の従業者)に対して政府が調査を行い、当該者の信頼性を確認した上で、アクセスを認めるというもの」と述べています。
(注)CIとは、政府が保有する安全保障上重要な情報として指定された情報/Classified Information

 

「当該者の信頼性を確認」とは
 「当該者の信頼性を確認」は、どのようなことについてどのようにやるのか具体的には書いてありませんが、「中間論点整理」の「政府横断的・分野横断的な制度の検討」の中には特定秘密保護法などと整合性をとる必要があると書かれています。
 特定秘密保護法・第12条には、調査対象者に対する調査事項が書かれています。それは、「特定有害活動(注)」・「テロリズム」との関係から、「信用状態その他の経済的な状況に関する事項」まで書かれています。
 「特定有害活動」・「テロリズム」の項では、家族・兄弟姉妹・同居人などの氏名、生年月日、国籍及び住所なども調査票に記載することが求められています。
(注)特定有害活動:安全保障上重要な機密情報の入手、核兵器・化学兵器・細菌兵器に関係する物の輸出・輸入など

 

思想調査がおこなわれる
 「信頼性の確認」は、機密情報にアクセスを認めるかどうかを判定するために行われるのですから、本人が本当のことを調査票に書いているか、その裏付けを取ろうとするでしょう。結局、それは身辺調査であり、思想調査になります。それも、本人だけでなく、家族・親・子・兄弟まで。まったくの人権無視・憲法違反です。

 

同意しないと給料が上がらないかもしれない
 中間論点整理には「丁寧な手順を踏んだ上で本人の同意を得て調査を行うことが大前提である」と書かれていますが、上司から調査を受けるよう言われたら、断りたいけど断るのは難しいという場合が多いのではないでしょうか。
 有識者会議・第4回会合の議事要旨には次のような発言が出ています。
----------------------------------
やはり今回、同意をしないと、結局あるプロジェクトに携われないとか、セキュリティ・クリアランスが与えられれば給料を上げた方が良いという意見も過去あったかと思うが、同意をしないと、給料が上がらないという不利益があるかもしれない。
会社の人事部門や経営層からしたら、この制度がちゃんと従業員に真摯に理解してもらわないと責任問題になりかねないと思い、その辺を危惧している。
----------------------------------

 

政府の意向に沿わないものを排除
 一方、有識者会議・第3回の議事要旨には次のような発言も出ています。
----------------------------------
なお、セキュリティ・クリアランスの取得が求められる国家安全保障に直結する職務は、世の中の仕事のうち、ほんのわずかに過ぎないので、当該職に就けなくても生活に困ることは稀であろう。
----------------------------------
 とんでもないことではないでしょうか。ある職務につけるかつけないかは、本人や家族の生活に関係する大事なことです。それを「稀であろう」と意に介さないのは、政府の意向に沿わないような者は悪い連中だからどうなってでもいいとでも考えているのではないでしょうか。

 

     ◇

 

 セキュリティクリアランス制度は、軍事分野だけでなく、経済・技術の分野においても、アメリカを盟主とするブロック化を進めることになります。米中対立が激しくなっている今、日本がそれを進めることはバイデン政権に加担して経済面での戦争準備を進めることになります。
 岸田政権の大軍拡をとめるとともに、セキュリティクリアランス制度もとめなくてはなりません。

 

   日本共産党三菱重工広製支部

« 本格的な軍産複合体へ前進? | トップページ | JERAの「CO2を出さない」火力発電 ??? »

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

« 本格的な軍産複合体へ前進? | トップページ | JERAの「CO2を出さない」火力発電 ??? »