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2019年5月24日 (金)

三菱重工の好調な決算と経営計画


 三菱重工は「2018事業計画推進状況(2018~2020年度)」の中で、「2018年度の実績」、「主要施策の推進状況」などを発表しました(2019年5月9日)。
 
財務の実績と計画
 財務の実績と計画に関する主なものを取り出しますと、次のようになっています。
                     (単位:億円)
       2017年度  2018年度  2018年度  2019年度  2020年度
       実績   期首計画  実績    計画    計画
 受注    38,687   41,000   38,534   43,000  50,000
 売上    40,856   42,000   40,783   43,000  50,000
 事業利益   581   1,600   1,867   2,200   3,400
 (利益率)  (1.4%)   (3.8%)   (4.6%)    (5.1%)  (6.8%)
 純利益    △73    800    1,013   1,100   1,700
 ROE     △0.5%   6%    7.2%     8%   11%
 配当(円/株) 120円   130円   130円   150円   180円
 
 2018年度の期首計画と実績を比べて見ますと、受注・売上の計画は未達成ですが、事業利益と純利益は超過達成していますから好調と言ってよいのではないでしょうか。受注の未達成には「期ズレ」があると書いてありますから、今年度に受注する可能性が大きいのでしょう。
 今年度(2019年度)は受注も売上も伸ばす計画になっています。今年度はすでに始まっていますから、この計画は根拠のある見通しと言えるのかもしれません。
 配当は150円/株(1株50円の時代なら15円配当)と、株主に大サービスする計画になっています。2020年度には180円/株と驚くような計画です。これはもう行き過ぎた株主偏重ではないでしょうか。
 
今後もM&Aを続けて事業拡大する計画
 上の表を見ますと、2019年度から2020年度へ受注・売上ともに4兆3,000億円から5兆円へと、一気に7,000億円(16%)伸ばす飛躍的な事業拡大が計画されていますが、この数値は昨年立案した「2018事業計画」の数値そのままです。
 そして、この飛躍的な事業拡大を達成する施策として「非オーガニック成長(+4,000億円)を含めて事業規模拡大」という計画を掲げています。これも「2018事業計画」に書かれています。
 ここで、「非オーガニック成長」とは吸収合併(M&A)などで事業拡大することです。
 
中量産品事業でM&Aを計画か
 「非オーガニック成長」(M&A)をどの分野で計画しているかですが、「2018事業計画推進状況(2018~2020年度)」の「成長戦略 - 短期① 中量産品事業」に「M&Aを含む重点的な成長投資」と出ています(p.13)。この事業分野でM&Aが計画されているのかもしれません。
 中量産品事業とは、ターボチャージャ、冷熱・カーエアコン、物流機器(フォークリフトなど) ですが、最近この事業分野で三菱重工は拡大を続けています。中量産品事業が含まれている「インダストリー&社会基盤ドメイン」の2020年度の受注目標は 2兆1,000億円と、2018年度の受注実績1兆8,520億円から13%増の目標になっています。ただし、その数値には「非オーガニック成長(+4,000億円)」が含まれていません(p.26)。もしこれが中量産品事業に含まれるとこの分野が三菱重工の中で大きな割合を占めることになりそうです。
 
MHPS(三菱日立パワーシステムズ)の人員対策
 次に「主要施策の推進状況」(p.8)を見ますと、第1が「MHPSの構造転換」です。その背景には世界的な火力発電の後退があります。すでに受注している案件で工事量は2020年度までは高操業ですが、2021年度以降に大幅な人員削減の計画を持っていることが発表されています。
 p.10にはMHPSの固定費削減計画が出ていますが、すでにMHPSの人員を2018年4月までに15%減らし、さらに2021年以降に30%減らす計画になっています。2万人規模の人員を45%減らすわけですから9,000人規模の人員対策になります。
 「減らす」と言っても「首切り」ではなくて「人員シフト」という再配置が中心のようですが、勤務地変更、職種変更など働く者へのしわ寄せが大きいですし、変更に応じることができずにやむなく退職していく人もいると思います。

MRJ(三菱リージョナルジェット)は計画どおり進捗
 「主要施策」の2番目にMRJが出ていますが、「2020年半ば MRJ90初号機引渡し」、その後「MRJ70の開発本格化」という計画は、今のところスケジュールどおりに進んでいるようです。
 
中長期の成長戦略は変化を読むだけ?
 中長期の成長戦略がp.17から出ています。社会の変化・技術の変革など「メガトレンド変化の理解」を基に「既存事業の中長期転換策を創出」と書いてあります。これは当然のことと思いますが、これだけでは受け身的で目先の利益だけを追っていることにならないでしょうか? もっと主体的に倫理の観点を含めて「グローバル企業として当社はどうあるべきか」を考えてもらいたいと思います。
 倫理の観点がないと、二酸化炭素(CO2)の排出量が多い石炭火力でも利益が出る間はやるということになって、欧米で進んでいる脱石炭の動きに遅れるなどということになるのではないでしょうか。
 
   日本共産党三菱重工広製支部 2019年5月24日
   日本共産党三菱重工広製支部のホームページ
http://mitubisi.la.coocan.jp/

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