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2017年6月29日 (木)

三菱重工、川崎重工、IHI、JMUの軍需生産

 日本の大手3重工(三菱重工、川崎重工、IHI)+JMUの軍需生産を、防衛装備庁の中央調達から抜き出して整理しておきたいと思います。防衛装備庁のホームページの中に「調達実績及び調達見込(中央調達分)」というページがあります。そこから各年度の「調達実績及び調達見込」を見ることができます。
 中央調達とは、自衛隊の装備(武器など)や防衛装備庁の研究開発などの調達で、要求機関としては、「陸幕、海幕、空幕、装備庁、防大、防医大、内局等」が記載されています。企業の軍需生産としては、中央調達のほかには地方調達や輸出が考えられます。
 大手3重工の一つIHIは、もとの社名が石川島播磨重工業(株)で、2007年に(株)IHIに変更しました。JMU(ジャパン マリンユナイテッド(株))は、IHI、JFEホールディングス、日立造船の3社が造船部門を統合して2013年に設立した会社です。IHIは護衛艦、掃海艦などの武器を生産していましたが、それらはJMUに引き継がれていますので、重工関連の軍需生産として一緒に見ておきたいと思います。

武器生産の大手企業
 各年度の「調達実績及び調達見込」の「3 上位20社の契約実績」に「過去5ヵ年の順位」が出ています。大手3重工とJMUは次のようになっています。
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     中央調達額の順位
   (平成)  三菱重工 川崎重工 IHI  JMU
2016(28)年度 1位     2位    7位   6位
2015(27)年度 2位     1位    3位   7位
2014(26)年度 1位     2位    6位   20位
2013(25)年度 1位     3位    5位   17位
2012(24)年度 1位     3位    9位   6位
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 川崎重工は、2015(27)年度に1位になっていますが、これは固定翼哨戒機(P-1)を20機まとめて契約した金額(2,073億円)が大きかったためです。同じ年度にIHIの順位も3位と上がっていますが、これは同じ固定翼哨戒機(P-1)20機のエンジン(80基)をまとめて契約した金額(708億円)が大きかったためです。
 JMUは護衛艦を受注した年(2016(28)年度、2015(27)年度、2012(24)年度)に順位が上がっています。そうでない年(2014(26)年度、2013(25)年度)は、三菱重工が護衛艦を受注しています。
 大手3重工とJMUに並んで調達額が大きいのは、探知・追尾・制御・通信などに関する武器を生産している三菱電機、日本電気、富士通、東芝などです。
 各社が生産している装備(武器など)にどのようなものがあるかは、「3 上位20社の契約実績」に「主な調達品」として出ています。それらの金額は「2 中央調達の主要調達品目」に主なものが出ています。

大手3重工とJMUへの調達額
 各年度の「調達実績及び調達見込」の「2 上位20社の契約実績」に各社の契約実績が出ています。
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    4社の中央調達契約額
   (平成)    三菱重工  川崎重工    IHI    JMU
2016(28)年度 4,532億円  994億円  355億円 410億円
2015(27)年度 1,998億円 2,778億円 1,147億円 389億円
2014(26)年度 2,632億円 1,913億円  619億円 102億円
2013(25)年度 3,165億円  948億円  483億円 116億円
2012(24)年度 2,403億円 1,480億円  277億円 740億円
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上記4社の合計が中央調達年度契約額に占める割合を見てみますと次のようになっています。
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    中央調達年度契約額に占める4社の割合
         中央調達  
  (平成)    年度契約額  4社合計   割合
2016(28)年度 18,397億円 6,291億円 34.2%
2015(27)年度 18,126億円 6,312億円 34.8%
2014(26)年度 15,717億円 5,266億円 33.5%
2013(25)年度 12,693億円 4,712億円 37.1%
2012(24)年度 15,287億円 4,900億円 32.1%
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 4社で中央調達の3分の1超を占める状態が続いています。護衛艦はJMUと三菱重工の2社、戦闘機は三菱重工1社、などのように、高額な装備は競争がほとんどない独占状態であることがわかります。
 中央調達の年度契約額が、2015年度からドッと上がっています。2,500億円規模の増額です。2015年は戦争法(安保法制)が強行可決され、防衛装備庁が作られた年です。アメリカと一緒に戦う準備が具体的に進められていることがわかります。アメリカと一緒に戦う準備は、アメリカから高額な装備の購入にも表れています。

アメリカから高額兵器の購入
 「2 中央調達の主要調達品目」の契約相手方の中に「米海軍省」、「米空軍省」などアメリカから購入している高額な装備があります。
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    アメリカから購入している高額な装備
2016(平成28)年度
  ティルト・ローター機(V-22)       1式  754億円
  戦闘機(F-35A)             1 式 1,091億円
  新早期警戒機(E-2D)          1式  260億円
  新空中給油・輸送機          1式  231億円
  滞空型無人機(グローバルホーク) 1式  145億円
                       合計  2,481億円
2015(平成27)年度
  ティルト・ローター機(V-22)       1式  585億円
  戦闘機(F-35A)              1式 1,065億円
                       合計  1,650億円

2014(平成26)年度
  戦闘機(F-35A)                1式  750億円
                       合計   750億円
2013(平成25)年度
  イージス装置等のプログラム維持管理1式 73億円
  戦闘機(F-35A)              1式  355億円
                       合計   428億円
2012(平成24)年度
  イージス艦へのBMD機能の付加  1式  341億円
  戦闘機(F-35A)             1式  569億円
                        合計   910億円
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 これも2015年度から急増しています。

今年度も高額の装備が目白押し
 中央調達の「平成28年度調達実績及び平成29年度調達見込」の中に「5 平成29年度中央調達の主要調達予定品目」が出ています。それを見ますと次のような高額装備が並んでいます。
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    2017(平成29)年度の主要調達予定品目から抜粋
ティルト・ローター機(V-22)             4機
水陸両用車(AAV7)               11両
10式戦車                       6両
潜水艦(8128)                    1隻
弾道ミサイル防衛用誘導弾SM-3        1式
戦闘機(F-35A)                    6機
滞空型無人機等(RQ-4Bグローバルホーク)1機
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 これらの内、ティルト・ローター機(V-22)と滞空型無人機等(RQ-4Bグローバルホーク)を除く他の5つは三菱重工に関係があります。水陸両用車(AAV7)はアメリカ製で2016(平成28)年度に11両(81億円)を住商エアロシステムが納入していますが、三菱重工が日本製水陸両用車を開発していることがネットで伝えられています。10式戦車は三菱重工が作っています。弾道ミサイル防衛用誘導弾SM-3については能力向上型迎撃ミサイル(SM-3 ブロックⅡA)の日米共同開発に三菱重工が参加しています。戦闘機(F-35A)の国内製造に三菱重工が参加しています。

パリ航空ショーに固定翼哨戒機(P-1)が参加
 2014年4月に安倍内閣が武器輸出を原則解禁する「防衛装備移転三原則」を閣議決定してからいろいろな動きがありましたが、最近のニュースとしては今年のパリ航空ショー(6月19日~6月25日)に川崎重工が自衛隊に納入した固定翼哨戒機(P-1)が展示されたことではないでしょうか(Aviation Wire 2017年6月23日)。自衛隊機がパリ航空ショーに参加したのは初めてのことと伝えています。
 武器輸出が本格的に始まると軍需生産は飛躍的に拡大して、日本経済の軍事化が大きく進むことになります。

    日本共産党三菱重工広製支部 2017年6月29日

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