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2017年5月25日 (木)

2015事業計画の見直しと対策(その2 人員削減)

 前回のブログで「2015事業計画推進状況」(2017年5月9日)のⅠとⅡを見ました。そこでは外部環境の変化によって受注規模と営業利益が目標に達していないこと、それでも高配当は続ける方針であることがわかりました。
 今回はⅢから見ていこうと思います。ここには「人員対策」(人員削減)が大きく出ています。
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「2015事業計画推進状況」の主な項目
 Ⅰ. 2016年度の実績
 Ⅱ. 2017年度数値計画の見直し
 Ⅲ. 2015事業計画の全体進捗評価
 Ⅳ. 主な対策の推進状況
 Ⅴ. 「改革の総仕上げ」としての組織・制度の補強
 Ⅵ. まとめ
 [参考資料]
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Ⅲ. 2015事業計画の全体進捗評価
 この章は「2015事業計画」が計画どおりに進んでいるかどうかを問題にしています。その結論は、簡単に言いますと、「構造改革は、事業の選択と集中等、概ね予定通りに進捗」と評価する一方で、「2016年度に想定を超える課題が発生」したので「抜本的改善策に着手」した、ということです(p.11)。
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 2016年度に発生した想定を超える課題(p.11)
 ・ 商船事業 → LNG船/コスト目標未達と工期遅れ (5隻)
 ・ 民間機(
Tier1) → 円高と減産加速 (B777・ボンバルディア機)
 ・ MRJ → 開発の更なる遅れと費用の大幅な増加
 ・
MHPS → 事業規模拡大とPMIの両方の遅れ
 (注)Tier1:ボーイング社・ボンバルディア社向けの事業(1次下請け)
 (注)MHPS :三菱日立パワーシステムズ(株)
 (注)PMI :Post Merger Integration/事業統合プロセス(統合の効果を出すために重複排除・人員削減などを進める)

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 これらの課題の多くは前回(2017年2月2日)の「2015事業計画推進状況」で対策が出されていましたが、今回「想定を超える課題」が発生した新しい状況のもとで「Ⅳ. 主な対策の推進状況」として対策がまとめられています。
 なお、前回(2017年2月2日)は、対策の中に「ドメインの再編」もあって、4月から3ドメインに再編されています。

Ⅳ. 主な対策の推進状況
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   主な対策の推進状況の項目(p,16)
 1. MRJ及びTier1対策(緊急対策)
 2. 商船事業構造改革の強化(緊急対策)
 3. MHPSの経営改善(緊急対策)
 4. M-FETのPMI
 5. PTのPMI
 6. アセットマネジメントの進捗
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 上記の1~5はどれも大幅な人員対策(人員削減)を伴っています。

1. MRJ及びTier1対策(緊急対策)
 「民間機事業の基盤強化(Tier1,MRJ共通)」を打ち出していますが、その中には「名古屋地区の中期低操業対策」という大規模な人員削減が書かれています(p.17)。

名古屋地区の中期低操業対策
 Tier1事業における減産とMRJの開発遅れによって人員対策が必要になったということです(参考資料 p.41)。
 Tier1事業では約6,600名の方が働いていましたが、2017年4月には「約700名規模の対応を実施済(社内他部門や社外への派遣等)」。さらに、2018年4月までに30%(約2,000名)を減らす計画です。
 MRJ事業では、三菱航空機(MITAC)を含めて、現在約2,850名が働いていますが、2018年4月までに20%(約600名)を減らす計画です。

2. 商船事業構造改革の強化(緊急対策)
 ここでは、昨年度から検討している「新体制移行」が対策の中心になっています。そのために今年7月には「新体制移行の第1ステップ」をスタートさせ、「LNG船のコスト低減と工期改善」などを進め、それと並行して、すでに進めている「他社とのアライアンス協議」を前進させて「新体制移行」を図るとしています(p.19)。
 「新体制」の中身としては「分社化含め検討中」とだけ記載していますが、「他社とのアライアンス」と「分社化」を組合わせると、商船事業を事実上切り離すこともあり得るということではないでしょうか。
 ところで、今回は書いてありませんが、前回(2017年2月2日)の「2015事業計画推進状況」 (P.13)には「新体制の狙い」の中に「2018~20年度の長崎低操業の克服」が含まれていますので、どうなるか心配なところです。

3. MHPSの経営改善(緊急対策)
 ここでは、2016年度の収益低下の原因を「円高と規模拡大遅れに加え、固定費削減に時間を要した結果、当期収益が急減」と説明しています。その対策の第一に、2020年度までに20%の固定費削減を掲げています(p.20)。
 ここでは「人員対策」という言葉を使っていませんが、「固定費削減」といえば「人員削減」が第一に考えられます。しかも20%もの大幅な固定費削減ですから、大幅な人員削減が含まれていると考えられます。

4. M-FETのPMI
 M-FET(三菱重工フォークリフト&エンジン・ターボホールディングス)については、「PMI加速」によって、「固定費削減 △10%」と「営利率向上 4 → 8%」を狙っています(p.23)。ここでも「人員対策」という言葉を使っていませんが、大幅な「人員対策」を伴っていると考えられます。PMI(Post Merger Integration/事業統合プロセス)は統合の効果を出すために重複排除・人員削減などを進めることですから。

5. PTのPMI
 PT(Primetals Technologies 製鉄機械の新会社)は、受注が少なくなっていましたが、「緩やかな回復傾向」にあるものの、「世界全体の設備過剰は当分継続」するためにPMIを推進して「人員最適化(8,000 → 7,100人)」を図るとしています(p.24)。

6. アセットマネジメントの進捗
 アセットマネジメントとは、資本効率向上のために、売却を含む土地などの資産活用ですが、割愛します。

人員削減
 上記に出てきました今後の「人員対策」計画に関係するものを抜きだしますと次のとおりです。
 ・名古屋地区の中期低操業対策 2600名
 ・2018~20年度の長崎低操業の克服
 ・MHPS  20%の固定費削減
 ・M-FET 10%の固定費削減
 ・PT   人員最適化(8,000 → 7,100人) 900名

 これらを合計しますと、5,000名を超える「人員対策」が計画されていると推測されます。これらがそのまま人員削減ではなくて、「名古屋地区の中期低操業対策」に出ていますように「社内他部門や社外への派遣等」も考えられます。しかし、「社内他部門」への派遣は転勤によるストレスもありますし、家族にとっても大きな問題です。「社外への派遣」は就職先を斡旋した人員削減と考えることもできます。表面的にはわからなくても不本意な「自己都合退職」に追い込まれる人もおられることでしょう。
 正社員がこのような状況になれば、非正規の人はすでに「削減済」で、下請けの人たちも厳しい状況になっていることが推測されます。
 三菱重工が推進している株主偏重の経営方針は、働く人たちや下請けを苦しめ、国内産業の空洞化につながっています。とはいえ、それは三菱重工だけではありません。各国の多国籍企業も株主偏重の経営方針を推進していますが、その結果、先進資本主義国の経済低迷と貧富の格差がますます深まっています。

    日本共産党三菱重工広製支部 2017年5月25日

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