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2017年5月18日 (木)

2015事業計画の見直しと対策(その1)

 三菱重工は5月9日に5回目となる「2015事業計画推進状況」を発表しました。その中で、「2015事業計画」の最終年度である2017年度の数値計画を見直すとともに、さまざまな対策や制度の補強を掲げています。
 「2015事業計画推進状況」(2017年5月9日)の主な項目は次のとおりです。
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 Ⅰ. 2016年度の実績
 Ⅱ. 2017年度数値計画の見直し
 Ⅲ. 2015事業計画の全体進捗評価
 Ⅳ. 主な対策の推進状況
 Ⅴ. 「改革の総仕上げ」としての組織・制度の補強
 Ⅵ. まとめ
 [参考資料]
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Ⅰ. 2016年度の実績
 まず、昨年度と今年度の実績を比較しています(p.4)。
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       2015年度実績  2016年度実績
 受注    44,855億円   42,756億円
 売上    40,468億円   39,140億円
 営業利益   3,095億円    1,505億円
 純利益     638億円     877億円
 
ROE       3.7%       5.1%
 配当     12円/株    12円/株
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 ・受注が減少した理由は「MHPS他、海外受注の減速(原油安等による投資減)」と外部要因(外部環境の変化)をあげています。
 ・営業利益が約1,500億円減少していますが、関係する事業は、LNG船、MRJTier1、MHPSをあげています。これらの事業については、Ⅳに対策が示されています。
 ・純利益が増加したのは、資産売却など「アセットマネジメント効果」としています。それがなければ大きな減益です。
 (注)Tier1:ボーイング社向けの事業
 (注)MHPS:三菱日立パワーシステムズ
 (注)ROE:純利益÷株主資本
 
配当は出血サービス
 このように厳しい状況でも、配当は12円/株を維持しています。配当総額は、「平成28年度決算概要」(p.11)に約403億円と出ています。これは純利益の45.9%に当ります。2015年度は61.3%でしたから、2年続けて株主への大サービスです。資産売却をしていることを考えると出血サービスと言うべきかもしれません。
 
南アフリカプロジェクト問題
 2016年度の実績をかかげたページ(p.4)には「除く南ア」という文字が3ヵ所に出ています。これは、三菱重工と日立がMHPS(三菱日立パワーシステムズ)を設立するときに、すでに日立側が南アフリカで受注していた火力発電プロジェクトの赤字に関する問題です。これの清算として三菱重工が日立に請求していますがまだ決着していません。そのため、例えば有利子負債は9,255億円ですが、この問題がなければ約6,255億円という意味で「(除く南ア)約6,255億円」と「2015事業計画推進状況」(p.4)に記載しています。
 この問題の経過と三菱重工の見解が「平成28年度決算概要」(p.15)に「南アフリカプロジェクトに係る資産」として記載されています。三菱重工から日立への請求額は約7,634億円という大きな金額ですから、両社とも簡単には譲れないのかもしれません。MHPSの中で働く人たちが気まずい思いをしなくてよいよう円満に解決してほしいものです。
 
ドメイン別の実績
 従来の4ドメインが、今年度から3ドメインに再編されました。
 「2015事業計画推進状況」(p.5)には従来の4ドメイン別と新しい3ドメイン別に2016年度の売上・営業利益の実績が出ています。
 そのうち、再編後の新しいドメイン別の実績は次のように示されています。
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         2016年度 実績
    新ドメイン      売上    営業利益
 ①パワードメイン  14,484億円  1,081億円
 
 ②インダストリー& 17,470億円   500億円
  社会基盤ドメイン
 ③航空・防衛・宇宙  7,034億円    9億円
     ドメイン
 (注)このほかに「その他」と「消去または共通」がありますので、ドメイン別の合計は全社の数値と一致しません。
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 従来の交通・輸送ドメインの売上げは5,153億円、営業利益は△519億円の赤字でしたが、これらのほとんどが新しいドメイン②と③に振り分けられた形になっています。従来の交通・輸送ドメインの商船部門が②に、MRJとTier1が③に移っているために、そのような結果になったと考えられます。
 
Ⅱ. 2017年度数値計画の見直し
 ここで言う「見直し」とは、「2015事業計画」に掲げた2017年度の目標値を見直すことを意味しています。見直した結果は次のとおりです(p.7)。海外比率が思いどおりに上がらなかったことが一つのポイントではないでしょうか。
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           2017年度   2017年度
           従来計画   今回見直し
 受注      55,000億円  45,000億円
 (海外比率)    (64%)       (55%)
 売上      50,000億円  41,500億円
 営業利益     4,500億円   2,300億円
 (営業利益率)  (9.0%)      (5.5%)
 純利益      2,000億円   1,000億円
 ROE         10.2%      5.5%
 配当       配当性向   12円/株
           30%±5%
 (注)配当性向:配当総額÷純利益
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 受注が計画値に達しない理由(差異理由)を次のように書いています。
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 差異理由:世界経済の不透明感や市場見通しを反映
  MHPS      △3,500億円
  交通システム △2,200億円
  民間機     △2,000億円
  PT(製鉄)    △1,200億円
  コンプレッサ  △1,100億円
    受注計   △10,000億円
 (注)民間機:MRJとTier1
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 このように受注が減少すれば売上げが減り、営業利益も減少するのは当然のことです。受注減少は「世界経済の不透明感や市場見通しを反映」という外部要因によるのですから、営業利益が上がらないからといって、このあと出てきますが、働く者にしわ寄せするのはお門違いと言えます。
 
配当は目標以上
 配当は、2017年度も12円/株としていますが、配当総額は約403億円ですから、純利益1,000億円の40.3%(配当性向40.3%)になります。従来計画では「配当性向30%±5%」ですから、純利益の目標値が下がっても株主への大サービスは続けるということです。
 
    日本共産党三菱重工広製支部 2017年5月18日
 

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