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2017年3月31日 (金)

高速増殖炉と三菱重工

 政府は昨年12月、高速増殖炉の原型炉である「もんじゅ」の廃炉を正式に決定しましたが、一方で破綻した核燃料サイクル政策は維持するという方針を決定しました。

三菱重工と「もんじゅ」の深い関係
 三菱重工と「もんじゅ」の深い関係については、2015年11月12日のブログ(85)に書きましたが、ここで簡単に振り返っておきたいと思います。
 「もんじゅ」は国家プロジェクト「高速増殖炉(FBR)の開発」として進められました。参加企業には、三菱重工業、日立製作所、東芝、富士電機があり、その中で三菱重工は炉心設計をはじめ、重要なソフトの開発や原子炉容器など主要機器の製作という中心的な役割を果たしました。
 しかし、1995年には冷却材であるナトリウムが漏れて火災事故が発生。その後、運転再開を目指して新体制が作られ、2007年に三菱重工は「高速増殖炉(FBR)の開発を担う中核企業」に選定されました。
 それを受けて、三菱重工は「今後、FBR開発の中核を担う企業として、そのエンジニアリングを一括して取りまとめる新会社を設立、2025年の運転開始を目指すFBR「実証炉」建設と、2050年までに軽水炉の代替として導入される予定のFBR「実用炉」の建設に向け、積極的に取り組んでいく」と宣言しました(三菱重工ニュース 2007年4月18日)。新会社の名称は「三菱FBRシステムズ株式会社」です。
(注)国家プロジェクト「高速増殖炉(FBR)の開発」
    実験炉「常陽」  1970年着工(技術の基礎を確認)
    原型炉「もんじゅ」1983年着工(発電技術を確立) 
    実証炉              (経済性を見通す)
(注)高速増殖炉(FBR)とは
    高速中性子による原子核分裂によってエネルギーを発生させながら、一方、炉内で消費した燃料以上に新しい燃料(プルトニウム239)をつくり出すしくみの原子炉(FBR/fast breeder reactor)
    核分裂反応で生じる高速中性子を減速させずに連鎖反応を起こさせ、プルトニウムを燃やしやすくした原子炉は単に高速炉と呼ばれます。どちらも冷却材にナトリウムを使います。

 「もんじゅ」はその後、機器の点検漏れなど保守管理上の問題を繰り返し、2015年11月、原子力規制委員会は、日本原子力研究開発機構は「もんじゅ」の運営主体として適当ではないとする勧告を出しました。
 日本原子力研究開発機構の現在の理事長は児玉敏雄氏(2015年4月1日就任)で、彼はその直前まで三菱重工の副社長・技術統括本部長をしていました。
 
高速増殖炉(FBR)の運転は極めて危険

 まず、取り扱うプルトニウムは猛毒で取り扱いが極めて困難と言われています。しかも、高速増殖炉の炉心を冷やす冷却材には普通の原発(軽水炉)のように水ではなく、水分に触れると爆発を起こすナトリウムを使うので、技術的にも難しく、運転は極めて危険です。いまでは日本以外の国は相次いで開発を中止しています。
 「もんじゅ」の問題の根本には、破綻した「核燃料サイクル」政策に政府があくまで固執し続けていることがあります。
 
高速炉開発会議

 政府は2016年10月、「もんじゅ」の廃炉を踏まえた今後の方針を話し合う高速炉開発会議を発足させました。
 そのメンバーは次の5人です。
・世耕弘成経済産業相
・松野博一文部科学相
・電気事業連合会の勝野哲会長(中部電力社長)
・三菱重工業の宮永俊一社長
・日本原子力研究開発機構の児玉敏雄理事長(もと三菱重工副社長)
 メンバーは政府方針を推進する人たちだけで構成され、広く専門家の意見を聞こうとしない政府の姿勢が感じられます。
 高速炉開発会議は10月7日から12月19日までの2ヶ月あまりの間に4回開かれて終了しました。
 会議の開催日と議題は次のとおりです。すべての議題は短時間にシャンシャンと進められたようです。
 高速炉開発会議(第1回)
  日時 平成28年10月7日(金)15:10~15:52
  議題
  (1)高速炉開発の意義と国際動向について
  (2)高速炉開発のこれまでの経緯と教訓について
 高速炉開発会議(第2回)
  日時 平成28年10月27日(木)17:12~18:00
  議題
  (1)高速炉開発の段階毎に得るべき知見
  (2)今後の高速炉開発に当たっての考え方
 高速炉開発会議(第3回)
  日時 平成28年11月30日(水)7:30~8:11
  議題
  (1)実証炉開発に向けた今後の取組
  (2)「高速炉開発の方針」の骨子(案)について
 高速炉開発会議(第4回)
  日時 平成28年12月19日(月)9:11~9:32
  議題
  (1)「高速炉開発の方針」の案について

 第4回のしめくくりで、宮永三菱重工社長は次のように述べました。「高速炉開発方針として、昨今の状況変化においても開発の意義は何ら変わるものではないと関係者で合意できたことが大変大きな成果であったと考えております。これまでの議論から、高速炉開発を前に進めていくためには、国、研究機関、電気事業者、メーカーのそれぞれが責任を自覚し、連携を強化していくことが大切でございます。その中で私ども中核企業に対しては、技術、人材両面での一層の能力向上を通じた開発への貢献・・・」。
 三菱重工は政府から委託を受けて事業として進めるという以上に積極的な役割を果たしていると言えそうです。
 政府は2016年12月21日、日本原子力研究開発機構の高速増殖炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)の廃炉を正式に決定。一方で、使用済み核燃料の再利用を目指す核燃料サイクル政策は維持し、もんじゅに代わる高速炉の開発を続けることも原子力関係閣僚会議で決定しました。

    日本共産党三菱重工広製支部 2017年3月31日

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