若い方たちへ 安保条約について考えてみませんか
トランプ大統領が先日、日米安全保障条約について「我々は日本を守らなければならない。しかし、どんなことがあっても、日本は我々を守る必要はない」と主張したと伝えられました。
彼の本音は、日本に軍事費の負担増を求めるディール(取引き)だというのが大方の見方ですが、それはともかく、この際、若い方たちに日米安全保障条約について考えていただけたらと思います。日米安保条約こそ、自公政権がアメリカ言いなりになり、日本をアメリカに縛り付けている根源ですから。
日米安全保障条約の条文
条約の条文というものは読みにくいものです。しかし、日米安全保障条約の条文は短いのでネット検索して一度読んでみられることをお勧めします。
正式名称は「日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約」。
前文・第1条・第2条は後から読むことにして、第3条から読むことをお勧めします。
第3条 武力を維持・発展させる義務
日本国憲法が戦争の放棄を定めているにもかかわらず、「武力の維持・発展」を義務付けています。
第4条 事前協議
日本の基地から米軍が出撃したことが何度もありましたが、事前協議が行われたことがありません。アメリカは日本をバカにしているのではないでしょうか。
第5条 共同して戦う
日米は「日本国の施政の下にある領域」で日米の「いずれか一方に対する武力攻撃」がある場合、「共通の危険に対処するように行動する」。共同して戦うことになります。といっても、圧倒的に強く、情報量も多い米軍ですから、もし戦争が始まったら日本の自衛隊は米軍の指揮下に入って戦うことになるでしょう。
そのため、「アメリカの戦争に日本が巻き込まれる」と、1960年には安保条約反対闘争が展開され、歴史に残る大政治闘争になりました。
第6条 日本に米軍の基地を置く
これには一切の条件をつけていませんから日本のどこにでも無制限に米軍の基地を置くことが条文上可能です。
第10条 廃棄通告
「この条約が十年間効力を存続した後は、いずれの締約国も、他方の締約国に対しこの条約を終了させる意思を通告することができ、その場合には、この条約は、そのような通告が行なわれた後一年で終了する」。
アメリカ言いなりをやめるために日米安保条約をやめたい政府が日本にできたら、1年後にはやめることができるということです。
日本はアメリカを守る必要はない?
日米が共同して戦うのは、第5条のとおり「日本国の施政の下にある領域」に限られていますから、トランプ大統領が言った「日本は我々を守る必要はない」というのは日米安全保障条約の条文を見る限り正しいということになります。
しかし、実際はそうではなくなりました
「日本国の施政の下にある領域」は、解釈がドンドン広がって、今ではサイバー空間も宇宙空間も対象にすると日米政府は合意しています。地球上のどこでも、宇宙のどこでも共同して戦うことになっています。
その上に集団的自衛権行使容認
2014年には、長年維持されてきた政府の憲法解釈を変更して集団的自衛権の行使を容認する閣議決定をおこないました。
これによって、日本が直接武力攻撃を受けていなくても、そのおそれもなくても、日本が他国(実際にはアメリカとその同盟国)のために武力を行使することが可能になりました。
結局、トランプ大統領は間違っています
結局、「日本は我々を守る必要はない」というトランプ大統領の言い分は、日米安全保障条約の条文上の限りであって、実際は間違っていると言えます。アメリカの戦争にいつ巻き込まれるかわからないという状態が続いています。
それはさておき、第10条に基づいて廃棄通告を行う政府を一緒に作りませんか。
お読みいただきありがとうございました。
日本共産党三菱重工広製支部