2018年7月 6日 (金)

軍需生産 国内の上位企業の状況

 防衛装備庁から「中央調達における、平成29年度調達実績及び平成30年度調達見込」が発表されましたので、最近の状況を整理しておきたいと思います。

 資料は、過去のものを含めて、防衛装備庁のホームページを「調達・公募情報」→「中央調達」→「中央調達トップページ」→「調達情報の公表」→「調達実績及び調達見込(中央調達分)」と進むと出てきます。インターネットで「調達実績及び調達見込」を検索することもできます。
 中央調達とは何か?「中央調達の概況 平成29年版」に出ています。
 それを見ますと、「防衛装備庁においては、自衛隊の任務遂行に必要な装備品等及び役務で大臣の定める主要なものの調達を一元的に実施しており、これを中央調達と呼んでいます」。 ここで「装備品等」とは、火器、誘導武器、電気通信、船舶、航空機、車両、機械、弾火薬類、食糧、燃料、繊維及びその他の需品と説明されています(p.13)。中央調達でないものは地方調達と呼ばれています。

中央調達の実績(過去3年間/単位:億円)
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              2017年度  2016年度  2015年度  合計  比率(注)
三菱重工       2,457       4,532      1,998    8,987   17.2%
川崎重工       1,735        994      2,778    5,507   10.5%
日本電気       1,177        905       739    2,821     5.4%
三菱電機        957        767      1,083    2,807     5.4%
富士通          479        783       364    1,626     3.1%
IHI               100        355        1,147    1,602     3.1%
東芝(注)         632        348        573    1,553     3.0%
FMS調達       3,808       4,797       4,405   13,010    24.9%
年間調達額    15,764     18,397       18,126   52,287    100.0%
 (注)比率は、年間調達額に対する比率です。
 (注)東芝については、2017年度は東芝インフラシステムズ(2017年7月 株式会社東芝から分社)としてのデータです。
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FMS調達とは
 「中央調達の実績」の中でFMS調達がダントツですが、これは企業名ではありません。アメリカからの兵器購入です。
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 FMS調達は、「日本国とアメリカ合衆国との間の相互防衛援助協定」に基づいて、 装備品等及び役務を日米両政府間の直接取引によって調達するものです。この調達においては、取引の条件、手段等が、米国政府の方針、規制等に従って定められていることがあり、 一般的な商取引による契約とは性格を異にしています。
  「中央調達の概況 平成29年版」p.31
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「取引の条件、手段等が、米国政府の方針、規制等に従って・・・」とは、アメリカの言いなりということです。「対価は前払いに限られ、納期が年単位で遅れることもあり、価格は当初は見積もりということもあり支払い時は高騰することもあるなど・・・」(ウィキペディアより)。

企業別の主な調達品

 各社はどんな兵器を作っているのか、過去3年間の中から金額の大きいものを取り出してみました。
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三菱重工 地対空誘導弾ペトリオット     1式 1,867億円
         SH-60K哨戒ヘリコプター   17機  619億円
         潜水艦                    1隻  456億円
 
川崎重工 固定翼哨戒機(P-1)        20機 2,073億円(*1)
         C-2輸送機                3機  491億円
        輸送ヘリコプターCH-47JA    6機  445億円
 
日本電気 Xバンド衛星通信中継器等    1式  112億円
         可変深度ソーナーシステム     1式   85億円
          広帯域多目的無線機       1式   47億円
 
三菱電機 03式中距離地対空誘導弾   1式  310億円
              シースパローミサイル     1式  138億円
           99式空対空誘導弾         1式  162億円
 
IHI 固定翼哨戒機のエンジン             80個  708億円(*2)
    SH-60K用エンジン              34個  119億円
    戦闘機用エンジンの研究試作       1式  141億円
 
富士通 防衛情報通信基盤             1式  106億円
      ネットワーク監視器材の借上       1式    60億円
 
東芝  基地防空用地対空誘導弾        1式  165億円
         電波監視装置1号機           1式    83億円
 
FMS調達 戦闘機(F-35A)                1式  940億円(*3)
          ティルト・ローター機             1式  709億円(*4)
    E-2D早期警戒機の取得            1式  248億円
 
(*1) 2015年度にまとめ買いの契約がありましたので、この年の中央調達の金額は川崎重工が三菱重工抜いてトップになりました。
(*2) 川崎重工の固定翼哨戒機(P-1)20機に付けるエンジンです。
(*3) 戦闘機(F-35A)は、2015年度に1,065億円、2016年度に1,091億円、2017年度に940億円の契約をしています。
(*4) ティルト・ローター機とはオスプレイのことです。2015年度に585億円、2016年度に754億円、2017年度に709億円の契約をしています。
(注)字数の多い品名などは省略して転記していますので正確ではありません。
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アメリカへの従属的一体化

 FMS調達は近年急増しています。2年つづいて4,000億円を超えていますが、2018年度の調達見込も4,036億円となっています。トランプ政権は対日貿易赤字削減のために日本に高額の兵器購入をせまっていますから、ますます増える可能性があります。
 しかし、問題は貿易赤字という経済的な問題だけでなく、軍事的に日本がアメリカへ従属的に一体化されるという大きな問題があります。アメリカからハイテク兵器を導入すれば、アメリカの指導を受け、アメリカの上位の軍事システムにより強く組み込まれることになりますから。
 軍事技術の点でも、前回のブログ「三菱重工 軍需部門の新戦略」でも見ましたように、アメリカへの従属が進んでいます。報道によれば、「日米両政府は弾道ミサイル防衛を担うイージス艦向けの次世代レーダーを共同開発する検討を始め」ました(2018年7月6日 日経)。これは、「北朝鮮や軍備を増強する中国を念頭にミサイル防衛網を強化する。迎撃システムの根幹に関わるレーダーでの協力は日米同盟が新たな段階に入ることを示す」とも指摘しています。

   日本共産党三菱重工広製支部 2018年7月6日

2018年6月22日 (金)

三菱重工 軍需部門の新戦略

平和へのプロセスの中で

 米朝首脳会談によって平和へのプロセスが始まりました。それは安倍政権の軍拡志向にも、三菱重工の軍需部門の戦略にも何らかの影響を及ぼさざるを得ないでしょう。しかし、安倍政権は別の問題を持ち出して軍拡を合理化するかもしれません。なぜなら、これでアメリカの侵略性が一路後退するとは言えないようですから。西川純子氏(獨協大学名誉教授)は、次のように述べておられます。
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 「『2018年国家防衛戦略』において、アメリカの繁栄と安全を脅かす仮想敵国と断定されているのは、中国とロシアである」。「アメリカにとっての最優先課題は中国とロシアの軍事力をいかに凌駕するかであり、それに比べれば、軍事力において各段に劣る北朝鮮やイラン」などは「物の数ではないのである」。
(月刊「経済」6月号「軍拡の大義と核戦力の見直し-トランプの新国防戦略に見る-」p.32より)
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 トランプ政権は宇宙軍の創設を指示しました。もし宇宙が戦域になったらどんなことが起こるか、・・・。とはいえ、米朝首脳会談によって始まった平和へのプロセスが前進すれば世界の平和にも大きな影響を及ぼすに違いありません。
 そのような変化の中ですが、今回のブログでは最近発表された三菱重工の軍需部門の戦略を見ておきたいと思います。

事業戦略説明会

 三菱重工の軍需部門は昨年4月から「航空・防衛・宇宙ドメイン」に含まれています。ドメインの中の「航空」は民間航空機の分野で、MRJ(三菱リージョナルジェット)も含まれています。「宇宙」には民需も含まれますが軍需としての色彩は濃く、先日打上げられたH2Aロケットは、事実上の偵察衛星である情報収集衛星の軌道投入に使われました。そのため、「宇宙」も軍需部門に含めて、「防衛・宇宙」部門の事業戦略を見ることにします。
 新しい事業戦略は6月5日に開催された「航空・防衛・宇宙ドメイン事業戦略説明会」の説明資料に出ています。その中の「4. 防衛・宇宙セグメント」を中心に見ていきたいと思います。

事業規模の拡大計画

 先ず、事業規模を表す売上高の現状と計画は次のとおりです。
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                 航空・防衛・宇宙  その内防衛・宇宙
                 ドメインの売上高  の売上高(推定)
2017年度(実績)   7,229億円          約4,800億円
2020年度(計画)   7,200億円          約5,000億円
 (注)推定は、掲載されているグラフから行いました。
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 このように軍需部門の事業拡大を狙っていますが、当面急速に拡大させる計画ではなく、着実に前進しながら「次の拡大ステップへの準備」をしているようです。

3つの成長戦略

 2018事業計画の期間(2018~20120年度)の戦略として3つの成長戦略をかかげています。
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   3つの成長戦略
成長戦略① 国内既存分野・周辺分野の拡大
成長戦略② 海外事業拡大
成長戦略③ デュアルユース展開事業の確立
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 ここで昨年度の「航空・防衛・宇宙ドメイン事業戦略説明会」(2017年6月12日)を振り返ってみますと、これとよく似た3つの成長戦略をかかげていますが、順序が違っています。今回トップにかかげている「成長戦略① 国内既存分野・周辺分野の拡大」の重要性が増したようです。

成長戦略① 国内既存分野・周辺分野の拡大

 この中の(1)「既存分野」には「次期基幹事業の着実な立ち上げ」という基本方針を示して、具体的には次の2点をかかげています。
・「MSEミサイルの確実な製造・納入」
・「イージスアショアとMSE等を統合化してBMD能力向上を図る事業提案」
 MSEミサイル(ミサイル部分強化型のミサイル/Missile Segment Enhancement)は、パトリオットミサイルPAC-3の機能向上型です。アメリカで開発され、日本では三菱重工がライセンス生産をしています。2016年度に防衛省からまとめ買いの発注を受けましたので、「確実な製造・納入」によって売上げと利益を実現しようとしているようです。
 次に、このMSEとイージスアショアの統合を提案しています。イージスアショアはイージス艦に搭載されている迎撃ミサイルのシステムを地上に配備するものです。北朝鮮からの攻撃の心配が後退する中で、秋田県と山口県への配備を執拗に進めようとしています。

次期基幹事業

 三菱重工の軍需部門はこれらを「次期基幹事業」としていますが、弾道ミサイル防衛(BMD)にはばく大な費用がかかる上に、飛んでくる弾道ミサイルを100%落とせる保証はないので、いつまでも「BMD能力向上」が続くことになります。もし提案どおりに進められることになれば、三菱重工は政府(防衛省)から長期にわたって多額の予算を引き出すことになります。それは、三菱重工にとって「次期基幹事業」にふさわしいかも知れませんが、「平和へのプロセス」に逆行するものであり、不必要になる可能性もあります。このような事業に注力するのは企業にとってリスクが大きいと言えます。

米軍の兵器の修理

 成長戦略①の(2)「周辺分野」では、
・「駐留米軍のMRO事業に進出」をかかげています。
 MRO(Maintenance, Repair and Overhaul)は米軍の兵器の修理を意味しています。

成長戦略② 海外事業拡大

 ここでは次の2点をかかげています。
・F-35戦闘機
・SM-3共同開発・生産

 F-35戦闘機はアメリカのロッキード社を中心に開発され、日本の自衛隊向けに三菱重工(小牧南工場)で最終組み立てをしています。
 「これからの取り組み」として、次の2点をかかげています。
・機体の着実な納入
・MRO&Uのための整備拠点立上げ準備

 MRO&Uは、修理と機能向上(Maintenance, Repair,Overhaul, and Upgrade)です。アメリカはF-35のアジア太平洋地域の整備拠点を、機体は三菱重工の小牧南工場、エンジンはIHIの瑞穂工場にすることを発表していますから、その立上げ準備を重視しているようです。
 その次の「SM-3共同開発・生産」は、弾道ミサイル迎撃に関するもので、すでに日米共同で進められています。これから「日米共同生産体制下で円滑な量産の開始」をするとしています。日米共同と言っても技術的に重要な誘導部や弾頭はアメリカが握っています。

参考資料

 上記のF-35戦闘機とSM-3共同開発については、防衛装備庁の次の資料に、分担や予算を含めて図解付きで出ています。
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「総合取得改革に係る諸施策について(平成28年度予算案)」(平成28年2月 防衛装備庁)

p.23 F-35A取得関連経費及び製造参画範囲
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成長戦略③ デュアルユース展開事業の確立

 デュアルユース展開とは、軍事技術を民生品に利用することですが、これも海外展開を狙っています。
 

アメリカへの技術的従属

 成長戦略①と成長戦略②に出ているすべての項目が、アメリカ製兵器のライセンス生産・組立て・修理・改良に関するもので、技術的にアメリカへの完全な従属になっています。それが株主偏重路線を歩む三菱重工の軍需部門にとって事業拡大と資本効率向上を確実にもたらすと考えているのでしょう。
 同時にこれは、日本の軍需産業がアメリカの軍産複合体に吸収されつつあることを示しているのかも知れません。

   日本共産党三菱重工広製支部 2018年6月21日

2018年6月 8日 (金)

3重工の決算・内部留保・配当

  日本の大手3重工と言われる三菱重工、川崎重工、IHIの2017年度の決算・内部留保・配当を、各社の決算説明資料と決算短信(決算概要)から整理しておきたいと思います。
 3社とも重工業としてエネルギー・環境、インフラ、航空・宇宙・防衛の部門を有しており、海外売上も多くグローバル化している点で共通です。近年、経営環境が厳しい上に経営上の問題もあって業績は思うように伸びていないようです。それでも内部留保を3社ともに増加させています。
 3社とも株主第一主義の立場に立っていますが、その中でも三菱重工の配当がダントツに大きく、株主第一主義の先頭に立っています。さらに三菱重工は2018年度から国際会計基準(IFRS)を適用しますが、これは海外の機関投資家(ファンドなど)重視の方針なのでしょう。

三菱重工

             2016年度実績   2017年度実績   2018年度計画
 受注高        42,756億円      38,757億円      41,000億円
 売上高        39,140億円      41,108億円      42,000億円
 営業利益        1,505億円       1,265億円        1,600億円
 純利益           877億円        704億円          800億円
 ROE              5.1%        3.9%              4%
 内部留保      14,184億円      14,584億円     -
 配当         120円/株        120円/株        130円/株

 
  (注)ROE:純利益÷株主資本(%)

 (注)内部留保=利益剰余金+資本剰余金 としました。
 (注)株式併合(10株→1株)を実施したため、1株当りの配当は2016年度についても10倍しています。
 (*注)2018年度から国際会計基準(IFRS)を適用しますので、営業利益は2018年度計画については事業利益(営業利益+金融収支以外の営業外損益+特別損益)になっています。2018年度計画のROEは、国際会計基準(IFRS)を適用すると6%と記載されています。
 なお、(*注)以外の(注)は、川崎重工・IHIにも共通です。

 三菱重工はすべての事業を「伸長・維持事業」「変革・縮小事業」「新規事業」に分けて力を入れる事業・入れない事業を明確にしています。
 その中で、「伸長・維持事業」の収益力は安定しているとしています。「伸長・維持事業」には次の事業があります。
  ・火力
  ・ターボチャージャ、冷熱等の量産品
  ・民間航空機
  ・防衛・宇宙 他
 これら合計の売上高は約27,000億円、営業利益は約2,100億円で営業利益率は約8%と発表しています。主力製品である火力は世界的に需要が減少して厳しい状況ですが、利益率は維持しているようです。
 ドメイン別では、売上高はインダストリー&社会基盤ドメインが最も大きいですが、営業利益(事業利益)はパワードメインの方が大きい状態が続いています。三菱重工の中で主役が交代とは言えないようですが、企業の性格が変わりつつあるのかもしれません。

川崎重工
 

              2016年度実績     2017年度実績    2018年度計画
 受注高        13,487億円      16,080億円      15,900億円
 売上高        15,188億円      15,742億円      16,500億円
 営業利益         459億円         559億円        750億円
 純利益           262億円         289億円        470億円
 ROE              6.0%         6.4%             9.7%
 内部留保       3,418億円         3,626億円     -
 配当            60円/株         60円/株       70円/株

 
純利益やROEを見ますと、3社の中では最も順調に行っているようです。しかし、三菱重工のような高配当はしていません。

 売上げ・営業利益のトップは航空宇宙部門です。
 「モーターサイクル&エンジン」部門は、消費者に届ける最終商品を大量生産している点で他の2社にはない特徴を有しています。この部門も堅調なようです。

IHI
  

                    2016年度実績     2017年度実績    2018年度計画
 受注高       13,898億円        15,050億円     15,000億円
 売上高       14,863億円        15,903億円     15,000億円
 営業利益       473億円           722億円       850億円
 純利益            52億円           82億円       320億円
 ROE         1.6%                2.6%
 ROIC         5.0%               7.7%
 内部留保      2,033億円        2,070億円 
 配当         0円/株          60円/株          60円/株

 
経営指標としてROIC(投下資本利益率)を重視しています。

 2016年度は海洋構造物事業で損失が発生して、配当をゼロにしましたが、その後回復傾向にあるようです。
     ◇
訂正とお詫び
 ブログ「新・中期事業計画は株主偏重」(2018年5月11日)に誤りがありました。申し訳ございません。
 このブログで「ROEは、純利益÷株主資本×100ですから、分子の純利益が2000億円から1700億円に減少するにもかかわらずROEを向上させるということは、分母の株主資本を減少させることを意味します。株主資本を意図的に減少させるには、市場から自社株を買い上げて消却することでできます」と書きましたが、株主資本が減少する場合はそれだけではありません。
 株主資本には、株主が払い込んだ資本金のほかに利益を内部留保した利益剰余金なども含まれます。ブログで比較したのは、2015事業計画の目標値と2018事業計画の目標値です。その内、2015事業計画の目標は大きな純利益を続けて利益剰余金も非常に大きくする目標でしたが、結果はそうはいかずに利益剰余金は少なく、今後についてもさほど大きな利益剰余金を目標とすることができないこと、さらにIFRS(国際財務報告基準)を適用するために自己資本(株主資本)が小さくなることもあって、結局、市場から自社株を買い上げなくても株主資本が大幅に小さくなっています。したがって、市場から自社株を買い上げるように書いたのは間違いです。
 なお、事業計画の数値は次のとおりです。
  2015事業計画の目標:純利益2,000億円、株主資本20,500億円、ROE10.2%
  2018事業計画の目標:純利益1,700億円、自己資本(IFRS適用後)16,500億円、ROE11.0%

   日本共産党三菱重工広製支部 2018年6月8日

2018年6月 1日 (金)

日立の原発輸出も難航

今2件の原発輸出案件が動いています。一つは日立がイギリスのアングルシー島に建設するプロジェクト、もう一つは三菱重工がトルコのシノップに建設するプロジェクトです。
 この内、三菱重工のプロジェクトについてはブログ「トルコへの原発輸出 その後」(2018年4月6日)で状況をお知らせし、その後新しい情報は公表されていません。今回は、最近新聞などで報じられている日立のプロジェクトについて状況を整理しておきたいと思います。
 
日立の原発輸出
 
  日立は福島原発事故の翌年・2012年11月に原発輸出を目指して、原発の新設計画を持っているイギリスの電力企業ホライズン・ニュークリア・パワーを買収しました。
 2017年4月には、自社の改良型沸騰水型軽水炉(ABWR)2基の建設・運営に必要な許可申請をイギリスの原子力規制当局に提出し、2017年12月に包括的設計審査が計画通り完了しました(ニュースリリース 2017年12月14日)。総事業費は3兆円と言われています。
 
総事業費3兆円の捻出
 
  3兆円の捻出について日経(2018年5月11日)は次のように伝えています。
 ・英政府が約2兆円を融資する譲歩案を示した。
 ・日英それぞれの政府・企業連合と日立が各3,000億円ずつ出資する支援案を英政府が示した。
 整理しますと次のようになります。
  日立              3,000億円を出資
  英政府・企業連合   3,000億円を出資
  日本政府・企業連合 3,000億円を出資
  英政府           約2兆円を融資
 
事故時の賠償責任と電力買取りの価格保証

 上記の「日本政府・企業連合 3,000億円を出資」は、どの企業が出資するのか決まっていませんが、3兆円あればそれでいいのかというとそうでもありません。
 日立は事故が発生した時の賠償責任を回避しようとしていますし、事業で確実に黒字が出るように英政府に電力買取りの価格保証を求めています。
 日経は次のように伝えています。
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 日立社内で譲れない条件として浮上しているのが、原子力損害賠償責任の軽減・免除だ。日立は現在、英原発事業の開発会社の全株を保有しているが、段階的に出資を引き下げる方針だ。
 
 英政府による電力の買い取り価格についても引き続き協議する。買い取り価格は事業採算に直結するため、日立側は英政府に長期間にわたる価格保証を求めている。
  (日経 2018年5月29日「日立、事故時の賠償責任が焦点 英政府と原発協議継続」より)
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 日立は原発事業会社であるホライズン・ニュークリア・パワーを買収して全株を保有していますから、このままでは事故時の賠償責任が大きくかかってきます。それを回避するために出資比率を引下げようとしています。
 
原発は経済的にも成り立たない

 このようにイギリスと日本の政府が資金を出して応援してもすんなりとはいきません。原発は危険な上に経済的にも成り立たないと断言できるのではないでしょうか。
 しかし、政府が関与するために企業にとっては確実にもうかる事業になります。価格保証によって利益を得て、損失は両国の国民に負担してもらうことになりますから。
 
インドへの原発輸出交渉を隠蔽

 話が変わりますが、3月26日にインド・ムンバイで開かれた原発輸出に関する作業部会の議事録が「黒塗り」「白ヌキ」されて情報公開要求者に提出されたことを、5月30日の衆院経済産業委員会で日本共産党の笠井議員が告発しました。この作業部会には原発メーカーである日立GEニュークリア・エナジー、三菱重工、東芝エネルギーシステムズも出席しています(赤旗 2018年5月31日より)。
 
   日本共産党三菱重工広製支部 2018年6月1日

2018年5月18日 (金)

わかりにくい「2018事業計画」

  三菱重工の新しい中期事業計画「2018事業計画」が株主偏重であることを前回のブログで見ました。数値目標を見ればそのことがわかりますが、今回は経営の考え方そのものが株主偏重であり、「2018事業計画」はファンドに見せるために作られたのものということを指摘しなくてはなりません。

 社長の顔が、大株主であるファンドの方を向いていて働く者や国民の方を見てはいないので、社長が作った事業計画は働く者や国民にとって大変わかりにくいのではないでしょうか。
 三菱重工のホームページで、「IR情報」→「経営方針」→「中期経営計画」と進みますと、「2018事業計画」の説明資料と説明会動画を見ることができます。説明会動画は決算の説明と「2018事業計画」の説明があります。その内、「2018事業計画」の説明は宮永社長がやっています。

 
TOP比とは
 
  「2018事業計画」のp.11「Ⅱ-2. 基本方針・戦略(1/3)」に「TOP比」という言葉が出ています。その意味をその次のページ(p.12)で説明しています。
 その説明によりますと「TOP比」とは「Triple One Proportion」(訳:3つの1という比率)の略で、その中身は「経営目標(比率)として、売上:総資産:時価総額=1:1:1を設定」と書いてあります。
 これら3つの金額(売上・総資産・時価総額)を同じ規模にするというのが第一にかかげる基本方針・戦略だということです。ただし、「2018事業計画」で一気にその目標に行くのではなくて、中間的な目標をかかげています。
 なお、時価総額とは株価の時価総額(=1株当りの株価×発行株数)です。
 
売上・総資産・時価総額の現状
 
   現状は「15事計実績」として「1 : 1.3 : 0.3」と書いてあります(p.11)。
 これらの数値を確認するために2017年度決算を見ますと、売上は4.1兆円、総資産は5.5兆円です。時価総額を計算するために発行株数を有価証券報告書で見ますと33.7億株(2017年3月末)です。ただし、このときは10株→1株とする前ですから、今では3.37億株になります。最近の株価をインターネットで調べますと、過去1年間における三菱重工の株価は4,000円~4,600円です。そうしますと時価総額は概ね1.3兆円~1.5兆円になります。
 その結果、売上:総資産:時価総額は、4.1兆円:5.5兆円:1.3兆円~1.5兆円となって、概ね「1 : 1.3 : 0.3」であることが確認できます。
 
 「TOP比」の目標
 
   当面する「2018事業計画」の目標は「1 : 1.1 : 0.6」です(p.11)。そして、事業規模(売上)は「5兆円」、総資産は「5.3兆円以下」と出ていますから、時価総額の目標は(5兆円×0.6=)3兆円ということになります。時価総額3兆円を実現するには、発行株数が変わらなければ株価は現状の2倍にならなくてはなりません。3兆円÷3.37億株=8,900円/株ですから。
 「2018事業計画」のあとは1 : 1 : 1を目指すというのですから、そのとき株価は1,500円/株くらい、現在の3倍以上ということになります。
 
実現方法
 
 このような「TOP比」の目標を達成する方法、言い換えれば株価を2倍・3倍にする方法は「成長戦略に基づくポートフォリオの継続的組換え」が第一だと書いています(p.11)。常に成長が期待できる事業に事業の組合せを変えていくということです。そうすることで利益を上げ、その結果、株価が上がるということです。
 これまでもそのような考え方で他社の事業を吸収合併したり、利益率の低い事業を外部に切出したりしてきました。それをこれからも積極的に続けるということです。働いている人たちは職場変更・職務変更と動かされまくる日々が続きます。それに応じることができない人は自己都合退職に。
 
なぜこのような目標?
 
   説明会動画の中で社長は、当面の目標として1:1:1が理想形で、売上は5兆円規模がちょうど良いといっていますが、それ以上の根拠を示していません。さらに社長は、このような考えは、これまで三菱重工にはなじまなかったとも言っています。
 それは当然のことではないでしょうか。株価は自社の業績を反映しますが、自社の努力だけではどうにもならない面もあります。過去1年間における三菱重工の株価が4,000円~4,600円の間を上がったり下がったりしています。三菱重工の業績がそんな変化をしたのでしょうか。株価は、世界の経済の動きにも政治の動きにも左右されます。ファンドは安く買って高く売ることを狙っています。そのような株価をなぜ基本方針のトップに組み込むのか? だれもが疑問を感じるのではないでしょうか。しかし、ファンドは大喜びしているかもしれません。
 ところで、「TOP比」「Triple One Proportion」(訳:3つの1という比率)という言葉をインターネットで検索しても経営関係の用語としては出てきません。きっと英語の得意な社長の自作ではないでしょうか。
 社長が打ち出した新しい基本方針を周囲に納得させるのも大変だったのではないでしょうか。
 
   日本共産党三菱重工広製支部 2018年5月18日

2018年5月11日 (金)

新・中期事業計画は株主偏重

 「2015事業計画」が終了して新しい中期事業計画「2018事業計画」が発表されました。

数値目標を比較しますと
 まず新旧事業計画の数値目標と2017年度の実績(決算)を並べると次のようになります。
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          2015事業計画    2017年度の     2018事業計画
         2017年度の目標    実績(決算)     2020年度の目標
受注        5兆5000億円    3兆8757億円     5兆0000億円
売上        5兆0000億円    4兆1108億円     5兆0000億円
営業利益        4500億円      1265億円       3400億円
純利益          2000億円       704億円       1700億円
ROE         10.2%          3.9%            11.0%
配当      ―               120円/株        180円/株
(注)ROE:株主資本利益率
(注)2015事業計画の配当目標は「配当性向 30%±5%」
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 このように「2015事業計画」の最終年度である2017年度の実績は、事業規模・利益(ROE)ともに目標には遠く及ばない結果になりました。
 新しい中期事業計画「2018事業計画」の目標を見ますと、事業規模は前回と同じ5兆円の目標をかかげていますが、利益(営業利益・純利益)は前回よりも控えめになっています。

株主には大サービス
 しかし、株主資本主義にとって最も重要なROE(株主資本利益率)は、前回の目標(10.2%)よりも高い11.0%になっています。ROEは、純利益÷株主資本×100ですから、分子の純利益が2000億円から1700億円に減少するにもかかわらずROEを向上させるということは、分母の株主資本を減少させることを意味します。株主資本を意図的に減少させるには、市場から自社株を買い上げて消却することでできます。そうすれば、純利益が変わらなくてもROE(株主資本利益率)を引き上げることができるだけでなく、発行株数が減るために配当総額が同じでも1株当りの配当を引き上げることもできます。その結果、株価の上昇が期待されますし、市場の株数が減るために供給と需要の関係で株価が上昇することにもなります。
 配当は、上記の表に出ていますように、これまでの120円から180円に引き上げる計画になっています。
 どうしてこのような大サービスを株主にするのでしょうか? 三菱重工の株主には個人株主もたくさんおられますが、大株主はすべて国内外のファンドです(有価証券報告書 p.45)。彼らの目的は配当と株価です。そして、より高い配当や株が値上がりしそうな企業へと移っていきます。
 三菱重工の「2018事業計画」はこれまでにない株主本位の経営であり、三菱重工の株主資本主義は新しい段階に入ったと言うべきかもしれません。

大規模な人員対策つづく
 前回のブログでも見ましたが、これまで三菱重工は大規模な人員対策をしてきましたが、それをこれからも続ける計画です。
 その最大のものは、火力発電の世界的な需要急減に対応して三菱日立パワーシステムズ(MHPS)の大規模な事業構造転換をはかるために「人員の再配置他(構想)」として2021以降に次の対策を実施する計画です。
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三菱日立パワーシステムズ(MHPS)の人員の再配置他(構想)
   国内 自然減+採用抑制  - 5%
        配置・職種転換    -15%
   海外 会社/工場再編    -10%
       (2018事業計画 p.23)
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 三菱日立パワーシステムズ(MHPS)の従業員数はホームページに「連結 19,574人」と出ていますから、合計で-30%は約6,000人になります。
 このほか、民間機Tier1事業では「人員対策」として、2017年4月の約6,000人を、2021年4月には-40%(-2,400人)という計画です(p.38)。製鉄機械では、「拠点集約、人員最適化等」という計画をかかげています(p.19)。
 前回のブログでもみましたように、人員対策は必ずしも人員削減ではありませんが、働く人たちには大変なしわ寄せであり、不本意な「自己都合退職」に追い込まれる人も出てきます。

   日本共産党三菱重工広製支部 2018年5月11日

2018年4月27日 (金)

新・中期事業計画の発表を前に3年間を振り返る

 今年の5月には三菱重工の新・中期事業計画「2018事業計画」が発表されます。今回のブログは3年前に発表された「2015事業計画」(2015~2017年度)とその3年間を振り返っておきたいと思います。

「2015事業計画」の数値目標と実績
 「2015事業計画」は「5兆円超事業規模の早期実現」と「高収益性追求」(株主資本利益率向上)という目標を掲げて、その前の「2012事業計画」の株主資本主義路線をさらに推し進めました。
 「2015事業計画」が掲げた数値目標と実績は次のとおりです。
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          2014年度         2017年度        2017年度
            (実績)            (目標)         (実績見込み)
  受注       4兆6991億円   5兆5000億円   4兆0000億円
  売上       3兆9921億円   5兆0000億円   4兆0500億円
  営業利益      2961億円        4500億円      1800億円
  純利益        1104億円        2000億円      800億円
  ROE           6.5%            10.2%        4.4%
  配当    11円/株  配当性向     12円/株
            30%±5% (配当総額 403億円)
(注)ROE:株主資本利益率
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 このように三菱重工の業績は「2015事業計画」の「5兆円超事業規模の早期実現」という目標にも、「高収益性追求」(ROE10.2%)という目標にも遠く及ばない厳しい結果となりそうです。その背景には、客船事業の赤字・MRJの開発遅れなど三菱重工独自の問題もありますが、世界的な経済の低成長や火力発電の需要急減などGEやシーメンス・その他世界の重工業に共通する問題もあります。
 しかし、配当だけは目標以上の達成となっています。2017年度の配当性向(配当総額÷純利益×100)は50%を超える見込みです(403億円÷800億円×100=50.4%)。純利益の半分以上を配当として株主に献上します。配当総額403億円は従業員1人当り約40万円になります。

事業の選別を進める
 「2015事業計画」は目標達成のために「財務/事業性評価」を基に、伸ばす事業・撤退させる事業などに分けて事業の選別を進めました。
 「伸ばす事業」はM&A(合併・買収)などで事業規模を拡大する方針でしたが、この間、大きなM&Aはなかったようです。
 「撤退させる事業」は「速やかなカーブアウト(切り捨て)」という方針で、広島では2015年10月1日付で三菱重工マシナリーテクノロジーのクレーン事業を住友重機械搬送システム(株)に事業譲渡しました。
 このような事業の切り捨てによって突然の転勤・単身赴任や、老親を置いて赴任できないから退職せざるを得ないなど、働く人たちにしわ寄せがきています。

組織を再々編、分社化も続く
 三菱重工は2014年4月から全社を4つのドメイン(領域)に再編しましたが、2017年4月には次の3つのドメインに再々編しました。
 ・パワードメイン
 ・インダストリー&環境・社会システムドメイン
 ・航空・防衛・宇宙ドメイン
 再々編の理由は海外市場の減速という外部環境の変化に対応するためということでしたが、2016年度にはボーイング社の業績悪化による民間航空機事業の不振に続いて世界的な火力発電の需要急減による火力事業の不振と立て続けに経営困難が発生しました。
 その他の組織再編は、グループの鋳造工場を神戸造船所二見工場に集約、長崎地区の防衛・宇宙および火力発電事業関連の工場を再編など、効率向上を目指してさまざまおこなわれました。
 分社化も引き続き行われました。

大規模な「人員対策」
 昨年度のはじめには大規模な「人員対策」を打ち出しました(「2015事業計画推進状況」(2017年5月9日))。「名古屋地区の中期低操業対策」として推定2600名(p.41)ほか、合計5000名を越えると推定される規模です。

 「人員対策」は人員「削減」ではなくて、「社内他部門や社外への派遣等」と説明されていますが、働く人たちには大変なしわ寄せであり、不本意な「自己都合退職」に追い込まれる人も出てきます。正社員でない有期雇用の人は更新されずに人員「削減」になり、派遣の人はその数にも含まれないでしょう。

稼ぎ頭が変わるか?
 3つのドメインの中でパワードメインが稼ぎ頭を続けてきましたが、世界的な火力発電の需要急減によって後退を余儀なくされました。
 それに代わって、自動車向けのターボチャージャー、物流倉庫用のフォークリフト、空調機器が好調のようです。これらはいずれもインダストリー&環境・社会システムドメインの事業で、このドメインが新しい稼ぎ頭になるかもしれません。
 航空・防衛・宇宙ドメインについては、ボーイングの業績悪化やMRJ(三菱リージョナルジェット)開発遅れで厳しい状況になっています。

軍需生産・武器輸出
 安倍政権が2014年4月に「防衛装備移転三原則」を閣議決定して武器輸出を原則自由化しました。これをテコに「2015事業計画」は防衛事業の海外展開を加速させ、2018年度以降大きく伸びていく構想を描いています。
 しかし、オーストラリアへの潜水艦の輸出競争に負け、思うようには進まないようですが、政府が積極的に武器輸出を推進していますから今後海外展開が加速する可能性はあります。それが実現すれば「死の商人」としてのグローバル進出です。

原子力事業・原発輸出
 三菱重工業は、フランスの総合原子力メーカーであるアレバグループが設立する新会社(仮称:NewCo)に約2億5,000万ユーロを出資しました(2017年2月3日)。宮永社長は、「当社は事業を続けていく」、「安全性を追求しながら、原子力のコア技術を維持しておくことが重要だ」と言っていますが、具体的な展望を示すことができていません。「安全性を追求」と言っても、使用済み核燃料である放射性廃棄物の処理については何も言っていません。
 トルコへの原発輸出は、2013年5月トルコを訪問した安倍首相とエルドアン首相(当時)との首脳会談で合意しました。その後フィージビリティスタディを開始して4年が経過した今年3月、「総事業費の試算額が5兆円超と想定から2倍以上に膨らんだ」ことが伝えられました。それを受けて、伊藤忠はプロジェクトから離脱することになりました(2018年4月25日 日経)。

客船、商船事業
 カーニバル社から2011年11月に受注した大型クルーズ客船2隻は大きな損失を出して2016年度に終了しました。
 商船事業の再編は、今年1月に三菱造船(横浜市)と三菱重工海洋鉄構(長崎市)を設立しました。今後、今治造船(株)などとの提携をしながら事業を進めて行くようです。

それでも株主資本主義を続けるのですか?
 宮永社長が続投することになりましたから、5月に発表される新・中期事業計画「2018事業計画」は従来どおり株主資本主義路線をまい進することになりそうです。
 株主とはだれでしょうか? 個人株主もたくさんおられますが、大株主はすべて国内外のファンドです(有価証券報告書 p.45)。彼らの目的は配当と株価です。そして、より高い配当や株が値上がりしそうな企業へと移っていきます。

 労働者は簡単には移って行けません。単身赴任も受け入れざるを得ません。株主よりも働く者を大切にする経営をしてもらいたいものです。
 株主資本主義は短期的利益を重視します。長期的利益は資本効率が悪いからです。そのため、技術進歩にマイナスの力がはたらきます。
 株主資本主義は利益率が高ければどんな事業でもかまいません。国民の多数が反対している原発でも、輸出先の市民が反対している原発輸出も、武器輸出という「死の商人」になることも。
 より大きな短期的利益を求めるには、利益率の高い大きな事業に集中して、その他の事業を切り捨てようとします。しかし、事業の集中はリスクが大きくなるのは当然のことで、三菱重工の最近の経営困難もそのことを証明しているのではないでしょうか。
 結局、株主資本主義は働く者に苦しみをもたらし、企業を弱体化させると言えるのではないでしょうか?

   日本共産党三菱重工広製支部 2018年4月27日

2018年4月 6日 (金)

トルコへの原発輸出 その後

これまでの経過
 トルコへの原発輸出は、2013年5月にトルコを訪問した安倍首相とエルドアン首相(当時)との首脳会談で合意。黒海沿岸のシノップで、三菱重工がフランスのアレバと共同開発する新型炉「アトメア1」4基(出力合計は約450万キロワット)を建設する計画がスタートしました。計画内容は三菱重工のニュースリリース「トルコ共和国 シノップ原子力発電所プロジェクトへの取り組みを加速」(2013年5月7日)に出ています。

 2013年10月には商業契約で大枠合意。2014年2月1日、三菱重工業は新組織「トルコ原子力IPP推進室」を設置してフィージビリティスタディ(事業化調査)などを進めてきました(ニュースリリース「トルコ原子力IPP推進室を新設」2014年1月7日)。

建設事業費2倍に
 フィージビリティスタディを開始して4年が経過した今年3月、「総事業費の試算額が5兆円超と想定から2倍以上に膨らんだ」ことを各紙が伝えました(2016年3月16日 日経ほか)。
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 官民で進めている原発のトルコへの輸出計画の総事業費が、安全対策の強化などで当初想定していた2兆円の2倍以上に膨らむ可能性があることが、15日分かった。目標としていた2023年の稼働開始も困難な情勢。政府は成長戦略として進める原発輸出で、費用負担も含めた計画の見直しを迫られそうだ。
   ・・・
 トルコへの原発輸出は安倍晋三首相がエルドアン大統領との直接会談を重ねて受注にこぎ着けただけに、日本側も簡単には撤退できない。事業費の負担割合などをめぐり、今後トルコ政府との難しい交渉を余儀なくされそうだ。
  (2018年3月16日 東京新聞)
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 ここで、「事業費の負担割合などをめぐり」という部分は公的資金の投入を意味しているのでしょう。それは国民の負担であり、万一の事故の場合には耐えきれない巨額になることも考えられます。
 なお、三菱重工からはまだ何も発表されていません。

地元では住民の過半数が反対
 地元シノップの市長は原発反対を掲げて当選しました。市民の根強い反原発意識が次のように伝えられています。
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多数派は原子力発電所建設に反対
 2013年4月にKonda Research and Consultancy(訳注:同社はトルコの大手世論調査・コンサルタント企業)が行なった調査によれば、原子力発電所建設反対派は63.4%だった。この比率は東京電力福島第一原子力発電所事故後には一時80%にものぼった。政府が報道機関の相当部分を支配していることや、電力会社や建設会社と報道機関の重役たちが密接な関係を作り上げている今のトルコのメディア事情にもかかわらず、市民の根強い反原発意識はなくなっていない。
 (原子力資料情報室 2014年1月31日「トルコの原発事情 シノップに原子力発電所はいらない」)
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三菱重工は原発輸出を推進
 日本国内での原発新設は、圧倒的な反対世論の前にあきらめざるを得ない状況になっています。それだけに、原発輸出に望みをかけているのかもしれません。
 三菱重工の「パワードメイン事業戦略説明会(2017年6月)」資料の「原子力」のページ(p.30)には「戦略」の一つに「海外プラントはリスク管理強化し推進」を、「施策」には「トルコシノップPJ(ATMEA1)の推進」を掲げています。
 しかし、福島の事故の翌年に「原子力事業本部 事業説明会(2012年6月)」で「ビジョンと基本戦略」に「世界をリードする『原子力総合カンパニー』」を掲げるなど鼻息が荒かったときに比べると大きく後退しています。

     ◇
 地球温暖化を進める火力発電の需要が世界的に急減して三菱重工の経営は苦境に追い込まれています。原子力も火力発電も世論に逆らって推進しようとしたために、再生エネルギーなどへの方針転換に思い切った手を打てなかったのではないでしょうか。株主ファーストで短期的利益を追い求める株主資本主義は反道徳的であるだけでなく、経営上も三菱重工を弱体化させていると言えそうです。

   日本共産党三菱重工広製支部 2018年4月6日

2018年3月21日 (水)

武器輸出 その後の状況

安倍政権は2014年4月1日、「武器輸出三原則」を撤廃して「防衛装備移転三原則」を決定し、武器輸出の禁止から推進の道に踏み出しました。その後これまで国家安全保障会議(NSC)で審議した結果、海外移転(他国への売却・貸与・無償供与)を認め得る案件に該当することを確認した案件が公表されています。それらは次のとおりです。
(1)ペトリオットPAC-2の部品(シーカージャイロ)の米国への移転(2014年7月17日)
 開発元であるアメリカのレイセオン社と契約した三菱重工が製造している部品です。米軍 はPAC2を使っておらず、レイセオン社も製造を中止していますが、アメリカはPAC2を中東のカタールに輸出するために日本側に輸出を求めてきました。
(注)ペトリオット(patriot):報道などではパトリオットと言っていますが自衛隊などでは英語の発音に近いペトリオットと言っています。
(2)英国との共同研究のためのシーカーに関する技術情報の移転(2014年7月17日)
 イギリスの空対空ミサイルの技術に、日本(三菱電機)の目標を探査・追尾する技術を組み合わせる研究で、来年度は試作品の作成段階に入る方針です。詳細はブログ「日英ミサイル共同開発―歯止めない武器輸出―」をご覧ください。
(3)豪州との潜水艦の共同開発・生産の実現可能性の調査のための技術情報の移転(2015年5月18日)
 オーストラリアの次期潜水艦の共同開発・生産のパートナー選びの話は安倍政権の前から始まっていました。一時は三菱重工と川崎重工が建造している「そうりゅう型」潜水艦が最有望に浮上という報道もありましたが、最終的にはフランス政府系造船会社DCNSに決まりました。詳細はブログ「日本の軍需産業 2016 (4)オーストラリアとの潜水艦共同開発と三菱重工」をご覧ください。
(4)イージス・システムに係るソフトウェア及び部品等の米国への移転(2015年7月23日)
 次期イージス・システムのディスプレイシステム(イージス艦内で作戦に必要な情報を表示させるシステム)です。
(5)豪州将来潜水艦の共同開発・生産を我が国が実施することとなった場合の構成品等の豪州への移転(2015年11月26日)
 上記(3)から連続する案件です。
(6)TC-90等のフィリピンへの移転(2016年9月6日)
 海上自衛隊の練習機TC-90を最大5機フィリピン海軍へ有償貸与します。
(7)F100エンジン部品の米国への移転(2017年12月18日)
 F100はF15・F16戦闘機のエンジンで、アメリカで開発されて日本のIHIがライセンス生産しています。その部品の製造業者がアメリカでは撤退しているためにアメリカからの要請で日本からアメリカに輸出し、アメリカで製造したF100エンジンは他国に輸出されます(2017年12月19日 日経)。
(注)(1)~(6)は「防衛装備の海外移転の許可の状況に関する年次報告書(2017年10月)」に出ています。
 (7)は「F100エンジン部品の米国への移転」に出ています。

武器輸出に関する最近の報道
 次に、昨年1月以降に新聞などで報じられた武器輸出に関する主な記事を拾い出してみました。これがすべてではありませんが、武器輸出を巡ってさまざまな動きや商談があり、政府が積極的に推進していることがわかります。
・自衛隊機輸出へNZと交渉(2017年1月3日 日経)
 政府はニュージーランドに自衛隊のP1哨戒機とC2輸送機を輸出する交渉に入った。ともに製造の中心となるのは川崎重工業。欧米の機種も候補に挙がり、今夏にも調達先が決まる。整備を含めた長期契約になり、数千億円規模のビジネスを見込む。
・日仏、機雷探知共同研究で合意(2017年1月6日 日経)
 フランスを訪問中の稲田朋美防衛相は5日、パリでルドリアン仏国防相と会談し、水中に設置された機雷の探知技術について、日仏両国で共同研究を開始することで合意した。
・ASEANに陸自車両を無償供与へ(2017年2月19日 日経)
 政府は東南アジア諸国連合(ASEAN)に、陸上自衛隊の中古の輸送車両を無償提供する方針を固めた。フィリピンやベトナム、タイ、マレーシア、インドネシアが候補。装備品協力は、相手国と防衛面の結びつきを強める。
・哨戒機 マレーシアに無償供与へ(2017年5月5日 日経)
 政府は海上自衛隊のP3C哨戒機のうち、使わなくなった中古品をマレーシアに無償で供与する方針だ。南シナ海での同国の監視能力の向上を後押しし、海洋進出する中国をけん制する狙いだ。
・三菱電機、富士通が米企業とミサイル防衛レーダー共同開発を検討(2017年5月23日 ニューズウィーク日本版)
 米レイセオンと三菱電機、米ロッキード・マーチンと富士通の2陣営がそれぞれ、弾道ミサイル防衛の要であるイージスシステムのレーダーの共同開発を検討していることがわかった。
・東南アジア5カ国と協議(2017年6月15日 日経)
 防衛装備庁は15日、千葉市で東南アジア5カ国と防衛装備・技術協力に関する会合を開いた。会合は非公開で、日本の装備や技術に期待する声が出たという。
・哨戒機「P1」輸出へ布石(2017年6月21日 ニュースイッチ)
 防衛装備庁は航空宇宙産業展「パリ国際航空ショー」で19日(現地時間)、海上自衛隊の固定翼哨戒機「P1」を実機展示した。フランス政府の要請を受けての出展で、自衛隊機が民間機中心の海外航空ショーに実機を出展するのは初めて。
・インド、高性能潜水艦導入へ始動=三菱重、川崎重など関心か(2017年7月25日 時事ドットコムニュース)
 インドの主要メディアは25日までに、政府が高性能のディーゼル潜水艦6隻を新造する計画を始動させたと報じた。インド洋への進出を進める中国や、対立が続くパキスタンを念頭に置いているとみられる。
・自衛隊輸送機の輸出検討 政府、UAEに(2017年8月27日 日経)
 政府が航空自衛隊の新型輸送機「C2」をアラブ首長国連邦(UAE)へ輸出する検討をしていることが分かった。同国の要請を受け、輸送性能などの情報提供を既に始めた。
・空自レーダー タイで入札参加 政府承認(2018年3月11日 日経)
 政府は航空自衛隊の防空レーダーの輸出手続きに着手した。国家安全保障会議(NSC)の閣僚会合が今月、タイ空軍が月内にも実施する入札に参加することを承認した。製造する三菱電機が参加する。
 
官民挙げて武器輸出
 このように政府が積極的に武器輸出を推進しているのはアベノミクスの成長戦略に武器輸出が含まれているからと言えるでしょう。第2次安倍政権発足の8カ月後、産経は次のように伝えています。
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 政府が防衛装備品の輸出を成長戦略の柱であるインフラ輸出と位置付け、関連施設の建設や保守・運用も一体的に売り込むパッケージ型として輸出することが15日、分かった。武器輸出三原則に抵触しないよう装備品を民間転用して輸出に道を開き、輸出活性化による経済成長と防衛産業の底上げを図る。
  (産経ニュース 2013年8月16日「防衛装備をインフラ輸出 政府、経済成長と産業活性化」より)
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 ここでは「武器輸出三原則に抵触しないよう」となっていますが、この9カ月後の2014年4月、安倍政権は「防衛装備移転三原則」を決めて自由に武器輸出ができるようにしました。
 昨年(2017年)11月に防衛装備庁が東京都内で開いた「技術シンポジウム」で、同庁の林美都子国際装備課長が「アジア諸国との防衛装備・技術協力」について講演し、同庁が軍事企業を引き連れてアジア諸国を駆け巡り武器輸出の仕掛けづくりに躍起になっている実態を語っています(赤旗 2017年11月16日「防衛装備庁 武器輸出へ アジア諸国“営業”」より)。
 三菱重工は安倍政権のこのような政策を歓迎して武器輸出を拡大しようとしています。しかし、なかなか思うようには進んでいないようです。この際、武器輸出はやめるという方針を出してはどうでしょうか。そうすれば、世界の人々から尊敬される三菱重工になるのではないでしょうか。
 
   日本共産党三菱重工広製支部 2018年3月21日

2018年3月10日 (土)

トランプ政権の「国家防衛戦略」と安倍軍拡

新たな「国家防衛戦略」
 トランプ政権が初めて作った「国家防衛戦略」を、1月19日、マティス米国防長官が発表しました。その内容について日本経済新聞が報じた主な点は次のとおりです。
・中国やロシアを「戦略上の競争相手」と位置づけ
・核抑止力やミサイル防衛など米軍の体制強化が必要
・北朝鮮とイランを「ならず者国家」としている
・伝統的な同盟国に加えて他国との協力関係も強化する
・日本を含むインド太平洋地域で連携を進める
・国防予算を増やして米軍再建を進める必要がある
  (日経 2018年2月20日「トランプ政権、国防戦略を初策定 中ロ対抗へ米軍強化」より)
 これまでのアメリカの「対テロ」戦争については、「国家防衛戦略」を発表したときのマティス米国防長官の発言が次のように伝えられています。
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 マティス長官は新戦略の発表にあたり「われわれはテロリストとの戦いを遂行し続けるが、現在の米国の国家安全保障の優先課題はテロリズムではなく、大国間の競争だ」と語った。
  (ワシントン発 2018年1月19日 ロイター「米軍の新国防戦略、中ロとの競争を柱に 対テロから転換」より)
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 このように、アメリカは「対テロ」から「中ロとの競争」に戦略の軸を変え、軍事予算を増やして軍拡をさらに進め、インド太平洋地域を重視して同盟国日本などと連携をさらに強めようとしているようです。
 一方、アメリカがオバマ政権のとき、2014年3月に発表した「4年ごとの国防計画の見直し」の中では、中国と軍事的に対決し、中国に対して決定的優位となる新兵器の開発方針を掲げました。
(注)これについては、ブログ「新兵器開発・アメリカの戦略」を参照ください。

 これに比べると今回の「国家防衛戦略」は中国やロシアを「戦略上の競争相手」と表現して軍事的対決が後退した印象を受けます。しかし同時に、米軍の体制強化を求めたり、「核態勢の見直し」では「核の使用条件の緩和」と「新たな核兵器の開発」を進めようとしています。
(注)「核態勢の見直し」については前回のブログを参照ください。

 

軍拡競争は続く
 ロシアのプーチン大統領は、アメリカの「核態勢の見直し」に対する回答ともいえる新型大陸間弾道ミサイル(ICBM)の開発を発表。これは複数の核弾頭を搭載して米国のミサイル防衛網を突破でき、世界中どこでも到達可能であると誇示した、と伝えられました(日経 2018年3月2日「ロシア、新型ICBM開発」より)。
 中国については、イギリスの国際戦略研究所(IISS)が世界の軍事情勢をまとめた年次報告書「ミリタリー・バランス2018」の中で、兵器の近代化を進める中国が配備能力で米国を急速に追い上げていると伝えています(日経 2018年2月15日「中国の兵器近代化が懸念 米空軍の優位性揺らぐ」より)。
 このような軍拡競争ともいえるような動きはトランプ政権の前から始まっていますが、トランプ政権になっても弱まることはないようです。

安倍政権は「敵基地攻撃能力」保有へ
 第2次安倍政権発足後6年連続で日本の軍事費は増加を続けています。新兵器の研究も進められています(ブログ「防衛省概算要求5.2兆円に含まれる新兵器研究」)。

 昨年11月、トランプ大統領が来日したときにはアメリカから武器を大量に購入する要求が突きつけられました。安倍政権はすでにアメリカから高額兵器を購入していますが、今後も多額の購入を続けるようです。
 その上、3月2日の参院予算委員会では、海上自衛隊最大の艦船「いずも」を「攻撃型空母」に改修して、F35Bステルス戦闘機を運用可能にする調査・研究が行われているという衝撃的な事実が明らかになりました(赤旗 2018年3月5日)。これは「敵基地攻撃能力」の保有であり、憲法9条改悪の先取りとも言えるのではないでしょうか。同時にこれは、トランプ政権が「国家防衛戦略」で目指す「伝統的な同盟国」である日本と協力関係を強化して「日本を含むインド太平洋地域で連携」を進めて、「米軍の体制強化」を補完することでもあると言えるのではないでしょうか。

   日本共産党三菱重工広製支部 2018年3月10日

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