2018年1月12日 (金)

世界の軍事企業上位100社・2016年度のデータ

 ストックホルム国際平和研究所(SIPRI)がホームページに2016年度の世界の軍事企業上位100社(中国を除く)を発表しました。世界のトップ5は次のとおりです。いつもの顔ぶれが並んでいますが、アメリカの軍事企業の売上が急上昇しています。
https://www.sipri.org/sites/default/files/SIPRI-Top-100-2002-2016.xlsx

トップ5の2016年度の売上
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順位 企業名       国  武器の売上  前年度比
1 ロッキード社      米 408,30億ドル +10.7%
2 ボーイング社     米 295,10億ドル + 4.2%
3 レイセオン社     米 229,10億ドル + 3.9%
4 BAEシステムズ社   英 227,90億ドル + 0.4%
5 ノースロップ
    グラマン社 米 214,00億ドル + 5.4%
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 別のページ(Global arms industry: First rise in arms sales since 2010, says SIPRI)には次のことが書かれています。
 (1)トップ100に上場している米国企業の武器販売は2016年に4.0%増加
 (2)トップ100の売上高における米国のシェアが57.9%に増加  
 (3)2016年のトップ100の合計は、2015年に比べて1.9%増加し、5年連続で減少したあと最初の増加となった
(注)昨年度のデータは、今年度のデータなどと比較しやすいように為替変動などを加味した2016年度のドル価格で表示されています。その数値を使って、表の「前年度比」の計算をしています。昨年発表の数値を使ってはいません。

 上記(3)に関するデータとして、2002年度以降のトップ100の合計が別の表(Data for total arms sales for the SIPRI Top 100 for 2002-16)に出ています。

 

日本企業の2016年度の売上
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順位 企業名  武器の売上  前年度比
21 三菱重工  3,670億ドル  - 4.8%
49 川崎重工  1,730億ドル  -16.3%
64 IHI          1,290億ドル  + 8.5%
86 NEC        830億ドル  +22.4%
99 三菱電機   700億ドル  -29.2%
   合計      8,220億ドル  - 6.4%
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 このように2016年度の日本企業の武器生産は減少しましたが、日本の軍事費(防衛費)は急上昇を続けています。その第一の要因としてアメリカから高額な武器を多数購入していることがあげられます。アメリカからの高額武器購入は安倍政権の軍拡と対米追従によると言ってよいと思いますが、2017年度になると、トランプ政権からの高額武器の押し売りと安倍首相のトランプファーストが加わってさらに進んでいます。
 各国の軍事費も表(Data for all countries 1949-2016)になって出ています。日本はこの表(エクセル)の101行に出ています。そこには2016年度の日本の軍事費が5.0224E+12yenと記載されています。E+12は10の12乗を意味しますので5兆0224億円ということです。

 なお、前年度(2015年度)の売上金額は、その後の見直しによる修正と2016年度のドル価格での表示となっています。その結果、順位も変動しています。そのため、これまでの一連の経過を見る場合は最新のデータを見る必要があります。
 なお、ストックホルム国際平和研究所のホームページの見方についてはブログ「世界の軍事企業上位100社・最新データ(2017年1月 5日)」の末尾をご覧ください。

     ◇
三菱重工社長の年頭あいさつを読んで
 「2018年 宮永社長 年頭挨拶(要旨)」が三菱重工のホームページに出ています。そこには次のことが書かれています。

(1) 「規模の拡大」と「収益性の向上」を大きなテーマとして掲げ取り組んできたこと
(2) 掲げていた経営数値目標が未達になる見通しであること
(3) 人類共通の課題である「持続可能な地球の実現」や「持続可能な開発目標(SDGs)」の解決・克服にも取り組むこと
(4) 持続的成長に向けた飛躍のステージに上がるためには従業員一人一人の力とチームワークが必要であること
などなど
 民間企業ですから「規模の拡大」と「収益性の向上」に取り組むことは当然ですが、M&A・事業の切出し・組織再編などを矢継ぎ早におこなうことが、従業員やその家族にとって大変な負担になったり、不本意な退職に追い込んだりすることを社長はわかっていないのでしょうか。経営数値目標が未達になるのは世界経済の低迷から来る需要減という外部環境の影響も大きいのですから、世界の需要動向を見ながら、職場や従業員の声を聞きながら実情にあった速度で進めてもらいたいものです。それなしで従業員一人一人の力とチームワークを期待するのはあつかましいのではないでしょうか。
 さらに、(3)の「持続可能な開発目標(SDGs)」に本気で取組もうとするのなら、せめて石炭火力発電の推進だけはやめてほしいものです。石炭火力発電はCO2の排出が多く地球環境を破壊します。

 

   日本共産党三菱重工広製支部 2018年1月12日

2017年12月22日 (金)

三菱重工 この1年

 三菱重工の経営は、経営陣の思いどおりにはいかない状況が続いています。そこには三菱重工独自の問題もありますが、GEやシーメンスなど世界の重工業に共通する問題もあります。世界的な経済低成長の下で、火力発電の需要急減は重工業の経営陣にとって深刻なようです。その問題の根には株主資本主義―目先の利益を追う株主偏重経営―があるのではないでしょうか。CO2を発生する火力発電をやめて再生エネルギー発電重視の経営戦略に早くから方向転換していたら、利益がどうなっているかは別にして、世界中の人びとから尊敬される企業になっていたことでしょう。
 安倍政権は、株主の利益を重視するコーポレートガバナンスコードの導入など株主資本主義の応援団をしていますから、新しい年は安倍政権を退陣させる年にしたいものです。

4ドメイン制から3ドメイン制へ再編(4月1日発足)
 三菱重工は3年前の2014年4月に、それまで続けてきた事業本部制にかわって「顧客・市場を重視した4ドメイン」編成に移行しました。それから3年後の今年4月には3ドメイン制へ再編しました。
 3ドメイン制への再編計画を発表したのは昨年10月31日。このとき発表した2016年度中間決算で業績見通しを下方修正しなければならなくなり、その対策として発表しました「2015事業計画の推進状況」(2017年10月31日)

 業績見通しの下方修正が必要になったのは、(1)Tier1(主にボーイング向けの事業)、(2)商船、(3)MRJ(三菱リージョナルジェット)の業績悪化で、これが組織再編の引き金になったようです。

5,000名を超える「人員対策」(5月9日発表)
 今年5月に発表した「2015事業計画推進状況」(2017年5月9日)には、ずばり「人員対策」と、ほとんど「人員対策」と考えられる「固定費削減」の計画が5つの部門に出ています。それらを抜き出しますと次のとおりです。
http://www.mhi.co.jp/finance/library/plan/pdf/h29_05keikaku.pdf
 (1)名古屋地区の中期低操業対策 2600名
 (2)2018~20年度の長崎低操業の克服
 (3)MHPS  20%の固定費削減
 (4)M-FET 10%の固定費削減
 (5)PT   人員最適化(8,000→7,100人) 900名
 この内、(1)の「名古屋地区」とは前出のTier1(主にボーイング向けの事業)とMRJ(三菱リージョナルジェット)の関係です。(2)の「長崎低操業」は前出の商船関係です。
 (3)MHPS(三菱日立パワーシステムズ)は、世界的に火力発電の需要が縮小するなかで「従来レベルの売上で10%以上の営業利益を2年以内に確保」するとして、その対策の第一に「20%の固定費削減」を掲げています。
 (4)M-FET(フォークリフト事業)は、ニチユとユニキャリアを吸収合併した統合効果を出すために固定費を10%削減して営業利率を4%から8%に向上させる計画です。
 (5)PT(Primetals Technologies)も統合効果を出すために900名の削減を掲げています。
 これらを合計しますと、5,000名を超える「人員対策」が計画され、実施中と推測されます。

再び業績見通しを下方修正(10月31日発表)
 昨年度の中間決算で昨年度の業績見通しを下方修正したのに続いて、今年度の中間決算でも今年度(2017年4月~2018年3月)の業績見通しを下方修正しました。今回の下方修正のほとんどは、前出(3)のMHPS(三菱日立パワーシステムズ)に関するようです。

 三菱重工の宮永社長が12月15日の記者会見で「主力の火力発電所向けガスタービンの不振が少なくとも今後2年は続く見通しを明らかにした」ことを各紙が伝えました(日経 2017年12月15日「三菱重、火力不況が直撃」ほか)。
 火力発電は世界的に需要が減少していますので、業績悪化は三菱重工だけではありません。火力発電部門を持ち重工業の世界代表のようなアメリカのGEやドイツのシーメンスも大幅な人員削減を計画していることが伝えられています。
 ただ宮永社長は「日本の企業にレイオフはなじまない」とリストラを否定し、全国5カ所にある製造拠点の再編や効率化に活路を見いだす考えと伝えられています(日経 同上)。これはリストラとは違いますが、転勤や職種変更を伴いますので働く本人や家族にとって大きな負担になります。もし、それを契機に不本意な自己都合退職に追い込まれたら事実上のリストラということになります。
 このような厳しい状況にもかかわらず、配当は2017年度も12円/株としています。配当総額は約403億円ですから、純利益1,000億円の40.3%(配当性向40.3%)になります。従来計画では「配当性向30%±5%」ですから、業績見通しを下方修正しても株主への大サービスは続けるということです。

商船事業の建て直し(進行中)
 客船については、巨額の赤字を出したアイーダ向けクルーズ客船の2番船を今年4月27日に引き渡して終了しました。残る商船事業はLNG運搬船やフェリーなどです。造船分野は中国・韓国との激しい受注競争が続いています。
 昨年の「2015事業計画推進状況」(2016年10月31日)の中で「商船事業の抜本改革」として「他社も含めた水平統合型ビジネスへの転換」をかかげ、提携の相手方として今治造船、大島造船所、名村造船所をあげました。
 その後、昨年度末には今治造船、名村造船所と基本合意し(ニュースリリース 2017年3月31日)、大島造船所とは今年6月に基本合意したと発表しました(ニュースリリース 2017年6月14日)。これらの基本合意に基づいて、「具体的な事業への反映については、個別に契約を締結していく予定」としています。
 一方、三菱重工内の組織として、来年1月1日付で「三菱造船と三菱重工海洋鉄構の2社を設立」すると発表しました(ニュースリリース 2017年12月1日)。

 造船部門の再編はこれで一段落かも知れませんが、今後もいろいろな可能性があるのではないでしょうか。厳しい受注競争が続いていますから。

MRJ(三菱リージョナルジェット)の開発加速中
 初号機の納入時期はこれまでに5回延期されて、現在の納入時期は「2020年半ば」となっています(ニュースリリース2017年1月17日「MRJの開発状況について」)。

 12月15日の社長記者会見では、受注キャンセルの可能性も出ています。これ以上遅れないように、多数の外国人技術者も活用しています。さらに、試験を早く完了させるため、来年中に新たに試験機を3機投入し合わせて8機体制で開発を加速させる方針を固めたと伝えられています(NHK NEWS WEB 12月15日「納入遅れのMRJ 試験機増やし開発加速へ」)。

 

軍事生産は今後大きく伸びる可能性
 ストックホルム国際平和研究所のデータベース「世界の兵器生産トップ100社」に三菱重工は、2016年度、21位、3670百万米ドルと出ています。前年度から1位下がり、金額も少し減少しています。

 今年8月には防衛装備庁が、2018年度以降の新型護衛艦(新艦艇)調達の主事業者に三菱重工業、下請負者に三井造船を選定したと発表しました(29.8.9 防衛装備庁「新艦艇に係る調達の相手方の決定について」)。その中に「1隻当たり約500億円の建造費用を前提とした企画提案契約を締結」と書かれていますから、今後大きな売上になると思われます。

 武器輸出についても、政府・防衛省が海外に働きかけを行っていますから今後大きく伸びる可能性があります。

原子力・核燃料サイクルは続ける
 アメリカの原発企業と争っていた損害賠償問題は、三菱重工の主張が通って約141億円の支払いで済みました(「米国サンオノフレ原子力発電所に係る仲裁裁定受領に関するお知らせ」2017年3月14日)。

 核燃料サイクルについては積極的に進めています。3月にはフランスの原子力事業会社アレバのグループ新会社に出資を決定しました(重要なお知らせ 2017年3月21日「仏アレバグループ新会社(NewCo)向け出資に係る最終合意について」)。

 経済産業省の下にある「高速炉開発会議」の「戦略ワーキンググループ」にも参画しています。
 国内の原発再稼働支援、原発輸出も続けています。
 これまでの軽水炉の原発に代わって「高温ガス炉」を2030年までにポーランドで建設するというニュースが入りました。「東芝や三菱重工業などの企業と日本原子力研究開発機構が中心となり、出力16万キロワットの商用炉を新設する。年明けにも両国間で正式に合意する見通し」(日経 2017年12月21日「ポーランドに次世代原子炉 日本の官民、輸出の軸に」)。これの安全性、廃棄物処理などに注目しなくてはなりません。

風力発電と石炭火力発電
 三菱重工業とデンマークのヴェスタス社との折半出資による洋上風力発電設備合弁会社・MHIヴェスタスが大規模な風力発電設備を受注し、建設しています(ニュースリリース 2017年1月17日「MHIヴェスタス、世界最大出力の洋上風力発電設備V164-8.0MWを56基受注」)。

 このような再生エネルギーとはCO2排出で対極にある石炭火力発電も、安倍政権の支援を得て進めていることはブログ「石炭火力発電と三菱重工」でお知らせしました。

 

広島はすっかり変わりました
 吸収合併や分社化などは引き続き進められました。広島の三菱重工マシナリーテクノロジーのゴム・タイヤ 機械事業は10月1日付で新会社・三菱重工機械システムに統合されました(ニュースリリース 2017年9月1日「インダストリー&社会基盤ドメインの子会社を統合 新会社名「三菱重工機械システム」・・・」)。5年前のブログ「広島の新会社は不安がいっぱい」で書いた働く人たちの不安が思い出されます。

 一方、三菱重工広島の観音工場には大きなビルが2つ並んで建ちました。そこには三菱重工コンプレッサとプライメタルズテクノロジーズジャパンの本社が入りました(ニュースリリース 2017年11月15日「広島製作所 新事務所棟が竣工」)。

   ◇
 株主資本主義は株主資本利益率を引上げることが第一の目標です。そのためなら兵器生産も原発も石炭火力もやる。国内の産業空洞化には関心を示しません。そいう点で倫理欠如の経営と言えます。
 働く人たちや国民のためになる事業を進めさせるには、政府の産業政策を変えさせることが一つの方法ではないでしょうか。原発や石炭火力をやめて、再生エネルギー重視に舵を切る。トランプ軍拡への追随をやめる。新しい年には、そのような政府を作りたいものです。

 今年もご愛読ありがとうございました。よいお年をお迎えください。
    日本共産党三菱重工広製支部 2017年12月22日

2017年12月13日 (水)

日英ミサイル共同開発―歯止めない武器輸出―

共同研究から共同開発へ

 日本とイギリスが共同で研究している空対空ミサイルについて、来年度から試作品作成というステップに進む方針であることを小野寺防衛大臣が明らかにしました。

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・・・小野寺防衛大臣は閣議の後の記者会見で、「今年度までは、イギリスの技術に目標を探査・追尾するための日本の技術を組み合わせて、性能を分析する共同研究を行ってきた」と説明しました。そのうえで、「来年度は技術の確立のため、試作品を作って性能評価を行う」と述べ、来年度から6年間かけて、小型化や長射程化を進めた試作品の作成段階に入る方針を明らかにしました。

  (20171124日 NHK NEWS WEB 日英ミサイル共同研究 防衛相「来年度から試作品作成」より)

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 上記のニュースに出ている「目標を探査・追尾するための」装置はシーカーと呼ばれます。この日英ミサイル共同開発は、日本側からはシーカーに関する技術情報の移転(輸出)になります。

 イギリスの空対空ミサイル技術に日本のシーカーに関する技術を組み合わせる共同研究を国家安全保障会議が決定したのは20147月。安倍政権が「防衛装備移転三原則」という武器輸出の原則自由化を閣議決定した3カ月後という速さでした。

 その決定内容は、英国との共同研究のためのシーカーに関する技術情報の移転について2014717日)に出ています。

 この共同研究が来年度から試作品作成というステップに進むことになりました。

 

シーカーは三菱電機の高性能レーダー

 日経は、(1)対象となっているシーカーは三菱電機製の高性能レーダーでイギリスの空対空ミサイル・ミーティアに組み込んで新しい空対空ミサイルを開発する、(2)開発後は航空自衛隊の最新鋭ステルス戦闘機F35などへの搭載が見込まれる、(3)量産に至ればドイツやフランスへの輸出も検討する、と伝えています(日経 20171124日「日本、英国とミサイル共同開発 防衛装備政策に転機」)。

 

ミーティアとは

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 ミーティア(Meteor)は、イギリス空軍、ドイツ空軍、スペイン空軍、イタリア空軍のユーロファイター、フランス空軍のラファール、スウェーデン空軍のサーブ グリペンなどに搭載するためにMBDA社が開発しているアクティブレーダー誘導の長距離空対空ミサイル。視界外射程空対空ミサイル。

 2000年から本格開発が開始され、強力な電子妨害を受ける環境においても、遠距離の多目標攻撃能力を有することを目標としている。

  (ウィキペディアより)

  (注)MBDA社とは、ヨーロッパのミサイル製造企業

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ステルス戦闘機F35に搭載したら

 F35はアメリカのロッキード社を中心に9ヵ国で共同開発され、イスラエルを含む多くの国への輸出が考えられています。そのため、共同開発された新しい空対空ミサイルも一緒に各国に輸出されるでしょう。それも、空対空ミサイルという攻撃型の兵器です。

 安倍政権が閣議決定した「防衛装備移転三原則」は、歯止めのない武器輸出と言えそうです。

 

三菱電機の軍需生産

 三菱電機は、ウィキペディアの「概要」の中で「宇宙・防衛分野に強みを持っており、防衛エレクトロニクス分野での防衛省契約実績は長年にわたり第1位を維持している」と説明されています。

 さらに、「事業領域」の中に「防衛機器」があって、次のように書かれています。

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防衛機器

・誘導機器 - 鎌倉製作所:防衛省関連の製品としてミサイルを製造している。戦闘機用の中距離空対空ミサイルで、ライセンス生産ではレイセオンのスパローミサイル (AIM-7F) 、自社開発では99式空対空誘導弾 (AAM-4) 、地対空ミサイルでは03式中距離地対空誘導弾 (SAM-4) がある。他にパトリオットミサイルやイージス艦に搭載されるシステムやJ/FPS-5(通称「ガメラレーダー)等、TMD関連の業務も行っている。

  (ウィキペディアより)

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 防衛省の平成28年度中央調達の調達実施概況を見ますと、「3 平成28年度上位20社の契約実績」の中で、三菱電機は5位、金額は767億円、主な調達品には地対空誘導弾(ミサイル)や各種のレーダーが記載されています。

 しかし、三菱電機のホームページには、ミサイルや防衛省向けの製品が出てきません。民生用、平和産業というイメージを傷つけたくないのかも知れませんが、平和を望む国民の強い気持ちがそうさせているのかもしれません。

 

    日本共産党三菱重工広製支部 201712月13

2017年11月25日 (土)

石炭火力発電と三菱重工

 ドイツのボンで開かれていたCOP23(国連気候変動枠組み条約第23回締約国会議)で、トランプ政権のパリ協定脱退に多くの国々から批判が上がりました。それだけでなく、石炭火力発電所建設を官民一体ですすめている安倍政権も国際的な批判の的になっています。
 日経は次のように報じています。
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・・・(COP23)の交渉で日本は存在感を示せず「石炭火力発電の推進国」という点ばかりが注目された。温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」離脱を決めた米国と並び、温暖化ガス削減を妨げる勢力とも見られ始めている。
 (日経 2017年11月19日「脱石炭、見誤った日本」)
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 温暖化対策は待ったなしの課題になっています。しかし、安倍政権の下で三菱重工は石炭火力発電を国内外に売り込んでいます。
 今回は、国際的な問題になっている石炭火力発電について安倍政権の政策と三菱重工の状況を調べてみました。
 
エネルギー基本計画における石炭火力
 石炭火力発電に関する政府の考えは「エネルギー基本計画」(平成26年4月)に出ています。
 それを見ますと、各所で石炭火力発電を肯定的に述べていますが、「(3)石炭」(P.22)には考え方がまとめられていますので、かいつまんで転記します。
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エネルギー基本計画(平成26年4月)
(3)石炭(P.22)
①位置付け
「温室効果ガスの排出量が大きいという問題があるが」、「熱量当たりの単価も化石燃料の中で最も安いことから」、「重要なベースロード電源の燃料として再評価されており、高効率石炭火力発電の有効利用等により環境負荷を低減しつつ活用していくエネルギー源である」。
②政策の方向性
「発電量当たりの温室効果ガス排出量を抜本的に下げるための技術(IGCCなど)等の開発をさらに進める。こうした高効率化技術等を国内のみならず海外でも導入を推進していくことにより、地球全体で環境負荷の低減と両
立した形で利用していく必要がある」。
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 要するに安倍政権は、技術開発によって環境負荷の低減と石炭の利用は両立できるという前提に立って、石炭火力発電を国内だけでなく輸出も積極的に推進するという考えです。
 しかし、この前提が完全に破たんしているというのが現実のようです。
 
石炭火力発電のCO2排出量
 長年の技術開発によって石炭火力発電のCO2排出量は低減していきていますが、日本総合研究所理事の足達英一郎氏は、発電種類別の二酸化炭素(CO2)の排出は現状では次のような状態で、今後さらに進んだとしても「約530g/kWhどまり」だと述べています。
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 発電種類別の二酸化炭素(CO2)排出
  発電の種類    CO2排出原単位
亜臨界圧石炭火力発電   約900g/kWh
超臨界圧石炭火力発電   約850g/kWh
超々臨界圧石炭火力発電 約800g/kWh
石油火力発電           約700g/kWh
革新型石炭ガス化複合
発電/石炭ガス化燃料電
池複合発電             約530g/kWh
LNG汽力発電           約480g/kWh
LNGコンバインド発電 約375g/kWh
(出所)総合資源エネルギー調査会資料より作成)
(日経産業新聞2015年9月10日「世界で進む脱石炭の流れ」より)
(注)g/kWh:グラム/キロワット時
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三菱重工の技術
 三菱重工のホームページには、前出のエネルギー基本計画にも出ているIGCC(石炭ガス化複合発電プラント)が説明されています。
 それを見ますと、IGCCは「発電効率と環境性能を飛躍的に向上させた次世代の火力発電システムです。大型IGCC では従来型石炭焚き火力発電方式と比べ、発電効率を約20%向上させ、CO2の低減も図ることができます」。
 発電効率を約20%向上させるのでそれだけ石炭の使用量が減り、CO2の低減になるという説明ですが、IGCC(石炭ガス化複合発電プラント)は上記の表の約530g/kWhに対応していますから、LNGに比べるとまだまだ排出量が多すぎると言わざるを得ませんし、LNGの排出レベルなら良いというわけでもありません。
 三菱重工はCO2回収装置も手がけていますが、ホームページにはどれだけの効率で回収できるのか、その数値は書かれていません。このよいな実情が、上記の日本総合研究所理事・足達英一郎氏の「今後さらに進んだとしても約530g/kWhどまり」という言葉の裏付けになっているのではないでしょうか。このあと出てきます世界最新鋭という勿来(なこそ)のIGCCは約680g/kWhと推測されます。
 
三菱重工の取組み
 三菱重工にとって、火力発電は目玉事業とも言えるものです。「パワードメイン事業戦略説明会」(2017年6月12日)の説明資料の「主要事業別売上高」(p.4)には火力発電がパワードメインの4分の3を占めているグラフが出ています。その大部分はガス火力と石炭火力です。石炭火力ではIGCC(石炭ガス化複合発電プラント)を積極的に進めています。
 説明資料の「施策④ 低炭素社会への貢献」(p.25)には「IGCC積極展開:国内で培った世界一の技術を海外へ展開」と書いています。「約530g/kWhどまり」のIGCCを「低炭素社会への貢献」と言っています。
 同じページ(p.25)に、常磐共同火力株式会社勿来(なこそ)発電所に建設したIGCCの長期運転でノウハウを蓄積したと書かれています。このプロジェクトは東京電力・三菱重工ほか計5社によるもので三菱重工のニュースリリース(2015年8月19日)「福島復興に向けた世界最新鋭の石炭火力発電所プロジェクトの推進に関する基本合意書の締結について」に発表されていますが、その中で国の支援があることも書かれています。
 なお、その中には「従来型石炭発電方式(超々臨界圧)よりも高効率であり、約15%の二酸化炭素排出量を削減」と書かれています。上記に見た表では超々臨界圧石炭火力発電のCO2排出は約800g/kWhですから、その15%減は約680g/kWhとなって、LNGコンバインド発電・約375g/kWhの1.8倍になります。
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 気候ネットワーク
は、IGCCは「高コストで、大量のCO?を排出」と訴えています(「世界中で失敗が続く IGCC (石炭ガス化複合発電)」)。
 気候ネットワークの「石炭発電所ウォッチ」によりますと、現在国内で42基の石炭発電所の建設が計画されています。
    日本共産党三菱重工広製支部 2017年11月25日

2017年11月11日 (土)

三菱重工 業績見通しを下方修正

三菱重工は第2四半期(2017年7月~9月)の決算を発表しました。
  2017年度第2四半期決算説明資料

  

平成29年度第2四半期決算概要
 ここには第1四半期決算と合わせた累計の数値が出ていますので今年度前半の決算ということになります。
 説明資料には昨年度前半の決算と比較した受注高・売上高などが出ていますが、これは飛ばして今年度(2017年4月~2018年度3月)の業績見通しを見たいと思います。

2017年度業績見通し
 説明資料のp.11に「前回見通し」(2017年7月1日)と、それを大幅に下方修正した「今回見通し」が出ています。次のページ(p.12)にはドメイン別の見通しが出ていますので、そこを見ますとパワードメイン(火力・原子力・再生エネ・コンプレッサなどの分野)の数値が大幅に下方修正されていることがわかります。
 大幅な下方修正をした理由は説明資料に書いてありませんが、日経は三菱重工業・小口正範CFO(最高財務責任者)の記者会見を伝えています。
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 三菱重工業が連結売上高の3割を占める「虎の子」、火力発電設備事業の思わぬ不振に見舞われている。同社は31日に発表した2018年3月期の業績予想で、営業利益を従来の2300億円から1800億円に修正。直接の要因は火力の大型案件計上が今期に間に合わないことだが、頭が痛いのは市場の低迷が数年続きそうな様相であることだ。(2017年10月31日 日経)
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2015事業計画の達成はさらに遅れる?
 過去数年の業績、今年度の見通し、事業計画の目標数値を並べてみますと次のようになります。
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    14年度 15年度 16年度 17年度 事業計画
     実績  実績  実績 見通し* 目標**
受注高 46,991 44,855 42,756 40,000 45,000
売上高 39,921  40,468  39,140 40,500 41,500
営業利益 2,961  3,095  1,505  1,800  2,300
純利益  1,104   638   877   800  1,000
                 (単位:億円)
* 今回下方修正した数値
** 2015事業計画推進状況(2017年5月9日)で下方修正した数値
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 2015事業計画の当初の目標は、2017年度に受注高が5兆5000億円、売上高が5兆円でした。それが、「2015事業計画進捗状況」(2017年5月9日)で下方修正され、今回発表された2017年度見通しでさらに下方修正されることになりました。
 下方修正を余儀なくさせるのは、何よりも上表で見られるように受注高の減少が続いていることです。受注高が計画値に達しない理由(差異理由)を「2015事業計画進捗状況」(p.7)は次のように書いていました。
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 差異理由:世界経済の不透明感や市場見通しを反映
  MHPS     △3,500億円
  交通システム △2,200億円
  民間機    △2,000億円
  PT(製鉄)   △1,200億円
  コンプレッサ △1,100億円
   受注計   △10,000億円
 (注)MHPS:三菱日立パワーシステムズ株式会社
 (注)民間機:MRJとボーイング社向けの事業など
 (注)PT:製鉄機械事業会社Primetals Technologies
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 どうやら、差異理由である「世界経済の不透明感」は思った以上に厳しく、まだ続くと見ているようです。

「人員対策」を推進中
 業績が思うように伸びない理由を「世界経済の不透明感」という外部要因に求めながら、その対策は「人員対策」が中心であることが「2015事業計画進捗状況」(2017年5月9日)(p.16~)に出ています。そこでは、5,000人以上の「人員対策」が「緊急対策」として進められています。
 これらの詳細については、ブログ「2015事業計画の見直しと対策(その2 人員削減)」を参照ください。

高配当は維持
 業績が思うように伸びない状況でも高配当は堅持する方針です。2017年度第2四半期決算説明資料(p.11)には1株あたり120円と出ていますが、これは、2017年10月1日付で株式併合(10株→1株)を実施しましたので、併合前の1株あたり12円と同じです。
 株主ファースト(株主資本主義)の経営方針は高配当と高株価を目指しますが、今回の下方修正によって株価は下がったようです。そのために業績回復を狙って、なお一層の利益確保、コストダウンを強力に進めようとすることでしょう。その結果、働く者や外注へのしわ寄せがこれまでになく厳しくなることが心配されます。
    日本共産党三菱重工広製支部 2017年11月10日

2017年10月13日 (金)

防衛白書「技術的優越の確保のための研究開発の推進」

今回のブログでは、今年の防衛白書の中から「技術的優越の確保のための研究開発の推進」を見ておきたいと思います。
 この節は、三菱重工など最新兵器の開発を進めている軍需企業に密接に関係していますし、大学を軍事研究に取り込む「安全保障技術研究推進制度」にも深く関係しています。
 なお、防衛白書は政府・防衛省の考えや施策などを国民に知らせるためのものですから、新しいことが書かれているわけではありません。内容としましてはほとんどすべてこれまでのブログで見たものですが、政府・防衛省が私たち国民に何を伝えたいかがわかると思います。
 今年の防衛白書の構成は次のようになっています。
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防衛白書(平成29年版)の構成
 巻頭特集など
 第Ⅰ部 わが国を取り巻く安全保障環境
 第Ⅱ部 わが国の安全保障・防衛政策と日米同盟
 第Ⅲ部 国民の生命・財産と領土・領海を守り抜くための取組
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 この中で、第Ⅲ部の第4章の第1節が「技術的優越の確保のための研究開発の推進」です。第1節の位置付けと構成は次のようになっています。
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 第Ⅲ部 国民の生命・財産と領土・領海を守り抜くための取組
  第4章 防衛装備・技術に関する諸施策
   第1節 技術的優越の確保のための研究開発の推進…431
    1 技術的優越の確保の必要性…431
    2 防衛技術戦略など…431
    3 研究開発に関する取組…433
    4 民生技術の積極的な活用…433
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 第4章の冒頭で、「わが国の防衛産業は厳しい状況に晒さらされている」と軍需企業の立場を代弁し、その理由として「厳しい財政事情」や「外国製装備品の輸入増加」を挙げていますが、「厳しい財政事情」の中で安倍政権は防衛費を急増させていますし、オスプレイなど高価なアメリカ製兵器を買い集めているのも安倍政権です。その一方で「諸外国に対する技術的優越を確保することが重要」と言って軍事技術政策を推進しています。
 次に、第1節の中を順に見ていきたいと思います。
 
1 技術的優越の確保の必要性…431
 ここでは、「わが国を取り巻く安全保障環境が一層厳しさ」を増しており、「米国をはじめ各国が研究開発を急いでいる」。「このため、国家として技術的優越の確保に戦略的に取り組むこと」が「喫緊の課題」となっていると述べるとともに、「最先端の軍事技術は、容易に他国には共有されない機微な技術」と言っています。そのことは、最先端の軍事技術は安易に公表できないことも意味しています。
 
2 防衛技術戦略など…431
 ここでは先ず、昨年8月に「防衛技術戦略」を策定し、それに基づいて「各種施策を推進している」と書いています。
 続いて、「技術情報の把握」の項で「デュアル・ユース技術」を挙げています。
 「デュアル・ユース」については、ブログでも取り上げましたが(「デュアルユース」は魔法のことば)、技術革新によって発達した民生技術を軍事利用に取り込むことこと、大学などを軍事研究に引き込むことを重視しています(ブログ「日本学術会議の議論」)
 「技術の保護」の項では、「わが国の技術が意図せず他国に流出」しないよう技術管理の重要性を述べています。
 続いて、今後の研究開発において重視する4つの技術分野を挙げています。
① 無人化への取組
② スマート化、ネットワーク化への取組
③ 高出力エネルギー技術への取組
④ 現有装備の機能・性能向上への取組
 これらについてはブログ「防衛省の防衛技術戦略」で見ました。
 「研究開発ビジョン」の項では、すでに「将来戦闘機ビジョン」と「将来無人装備に係る研究開発ビジョン~航空無人機を中心に~」を策定したことを述べています。この分野は三菱重工の独壇場と言えそうです(ブログ「三菱重工と新兵器開発」 )。
 
3 研究開発に関する取組…433
 ここでは、三菱重工で実施した「高運動ステルス機である先進技術実証機の実証研究」を取り上げるとともに、さまざまな新兵器の研究開発をしていることを書いています。これらについてはブログ「新兵器・研究開発の動向」でも見ました。
 
4 民生技術の積極的な活用…433
 ここでは、「安全保障技術研究推進制度」を中心に書いています。
 上記で見ましたように、1項で「最先端の軍事技術は、容易に他国には共有されない機微な技術」、2項で「わが国の技術が意図せず他国に流出」しないよう技術管理が重要と言っていますが、ここでは一転して、「研究の実施に当っては、学会などでの幅広い議論に資するよう研究成果を全て公開できるなど、研究の自由を最大限尊重することが必要である。よって、本制度では、研究成果の公表を制限することはなく」と言い切っています。
 この「研究の自由」こそ日本学術会議が問題視しているところです。日本学術会議の「軍事的安全保障研究に関する声明」は「防衛装備庁の『安全保障技術研究推進制度』(2015年度発足)では、将来の装備開発につなげるという明確な目的に沿って公募・審査が行われ、外部の専門家でなく同庁内部の職員が研究中の進捗管理を行うなど、政府による研究への介入が著しく、問題が多い」と断じています。この声明のあとに今年の防衛白書が公表されました。
 軍拡を推進している安倍政権が大学などを軍事研究に引きずり込みたいという強い思いが伝わってきます。
 
「市民+野党」の共闘で 安倍政権にさよならを
    日本共産党三菱重工広製支部 2017年10月13日

2017年9月22日 (金)

防衛省の研究委託制度に多くの大学が慎重な対応

     祝 カープ セ・リーグ連覇
 

安全保障技術研究推進制度の状況
 防衛省(防衛装備庁)がこの制度を始めて3年目になりました。応募や採択の件数は次のようになっています。
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2015年度
応募総数 109件(大学等58件 公的研究機関22件 企業等29件)
新規採択  9課題
 
2016年度
応募総数  44件(大学等23件 公的研究機関11件 企業等10件)
新規採択 10課題
 
2017年度
応募総数 104件(大学 22件 公的研究機関27件 企業等55件)
新規採択 【大規模研究課題】6件、【小規模研究課題】8件
 
(注)防衛装備庁のホームページのトピックスの中「安全保障技術研究推進制度のページはこちらへ」→平成29年度の新規採択研究課題 と進むと出ています。
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どんな研究課題が採択されたか?
 採択された研究課題がホームページに掲載されています。
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平成27年度新規採択研究課題について
平成28年度新規採択研究課題について
平成29年度新規採択研究課題について
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 掲載されている「研究課題名」や「概要」を見ますとどれも極めて専門的で何かの一部分に関する基礎的な研究という感じがします。
 
三菱重工が受託した研究
 採択された研究課題の中に「研究代表者所属機関」が三菱重工となっているものが28年度と29年度に1件ずつありますので見ておきたいと思います。
(1)(28年度)研究課題名:LMD(LaserMetalDeposition)方式による傾斜機能材料の3D造形技術の研究/三菱重工(荻村晃示)
 傾斜機能材料とは? インターネットを見ますと次のような解説がありました。
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 傾斜機能材料とは
 表面と中身が金属とセラミックスのように全く異なる性質を持ち、表面に垂直な方向で、金属とセラミックスの性質の割合が、連続的に変化しているような材料。ロケットが大気圏に突入した際に、ロケットの外部表面を高温度から守るために、熱膨張率の大きく異なるセラミックスを利用する工夫として開発された。(岡田益男 東北大学教授 / 2007年)
   (コトバンク/知恵蔵の解説 より)
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 研究結果の応用先はロケットに限られるわけではないでしょうから、ロケットのほかにミサイルの弾頭など宇宙空間から突入させる物体の先端部の「3D造形技術の研究」かもしれません。
(2)(29年度)複合材構造における接着信頼性管理技術の向上に関する研究/三菱重工(高木清嘉)
 「概要」の中には、研究の目的が「既存の技術・手法を上回る接着強度を得るための」と書かれています。
 では、複合材構造とは? JAXA(宇宙航空研究開発機構)のホームページに次のような説明がありました。
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構造・複合材料技術
 複合材料は、異なる特性の材料を複合して1つの材料として使用しているもので、炭素繊維やSiC(炭化ケイ素)繊維などを用いて繊維強化した材料として使用することで、これまでの金属材料に比べ、軽量で高強度な構造を創出することが可能となり、航空機や宇宙機器の性能をより高くすることに貢献できます。
http://www.aero.jaxa.jp/research/basic/structure-composite/
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 防衛省は新しいステルス戦闘機の開発を進めていますし、偵察衛星を打上げていますので、それらを高性能にするために必要な接着技術かもしれません。
 
日本学術会議の声明
 このような軍事研究に大学などを引き込んで軍学共同を進めようとする「安全保障技術研究推進制度」について日本学術会議は「軍事的安全保障研究に関する声明」(2017年3月24日)を発表し、「軍事研究を行わない」とした1950年と1967年の声明を「継承する」として安倍政権が推進する軍学共同を拒否しました。その中で、この制度が「将来の装備開発につなげるという明確な目的に沿って」いるとし、「政府による研究への介入が著しく、問題が多い」と断じました。
 翌月には、日本学術会議の「安全保障と学術に関する検討委員会」の審議結果を取りまとめた「報告 軍事的安全保障研究について」(2017年4月13日)を公表しました。その中で、学術の健全な発展には「学術研究の自主性・自律性、そして特に研究成果の公開性が担保される必要がある」と明確に述べています。
http://www.scj.go.jp/ja/member/iinkai/anzenhosyo/pdf23/170413-houkokukakutei.pdf
 8月31日には、検討委員会がリポートを発表して、防衛省の2017年度の研究委託制度への応募において、声明が少なからぬ大学に対応を促したと評価しています(赤旗 2017年9月1日「軍事研究、多くの大学慎重」)。そのことは、このブログの冒頭で見ました応募数にも出ています。大学などからの応募数が昨年度の23から22へと微減しています。
 
防衛省(防衛装備庁)の公募要領に変化
 日本学術会議が3月に声明を発表したあとに行われた今年度の応募要領は、その冒頭に赤い字で次のように書かれています。
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平成29年度 安全保障研究推進制度の公募要領 より
本制度の運営においては、
・受託者による研究成果の公表を制限することはありません。
・特定秘密を始めとする秘密を受託者に提供することはありません。
・研究成果を特定秘密を始めとする秘密に指定することはありません。
・プログラムオフィサーが研究内容に介入することはありません。
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 軍事技術は秘密保全が重要になります。このことは防衛省も「防衛生産・技術基盤戦略」の中で明確にしています。
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⑥ 技術管理・秘密保全
 今後、産学官連携を強化し、国際的な防衛装備・技術協力を推進するに際しては、防衛技術の機微性・戦略性を適正に評価し、我が国の「強み」として、守るべき技術は、これを守るとともに、デュアル・ユース技術の機微性・戦略性を適切に評価し、我が国の安全保障への影響を念頭に、関係国とも連携しつつ懸念国での武器転用のリスクを回避するなど、技術管理機能を強化する必要がある。
 (防衛生産・技術基盤戦略 平成26年6月 防衛省 p.16)
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 それにもかかわらず、今年度の公募要領に研究成果の公表を制限しないと書いているのはなぜでしょうか? 是が非でも軍学共同を推進したいのでしょうか? それとも、応用分野がごく限られた基礎研究だから他国の武器開発に利用される心配は少ないと思っているのでしょうか? それとも民生用に活用してもらいたいと本気で考えているのでしょうか?
 
  安倍首相が疑惑隠しの解散・追いつめられ解散
  安倍政権を退場に追い込む歴史的チャンス

    日本共産党三菱重工広製支部 2017年9月22日 

2017年9月 8日 (金)

防衛省概算要求5.2兆円に含まれる新兵器研究

 防衛省が2018年度軍事費の概算要求を発表しました。総額は5兆2551億円(注)で過去最大。第2次安倍政権発足後6年連続で前年度を上回り、2017年度の当初予算比2.5%増です。その中身の概要が「我が国の防衛と予算-平成30年度概算要求の概要-(平成29年8月31日掲載)」に出ています。
 (注)沖縄に関する日米特別行動委員会(SACO)関係経費、米軍再編関係経費を含んだ金額です。
 概要の3ページには「防衛関係費の推移等」として、沖縄に関する日米特別行動委員会(SACO)関係経費、米軍再編関係経費を除いた防衛費の推移が折れ線グラフで表示されています。第2次安倍政権発足後に急増していることがわかります。
 今回大幅に増えたのが北朝鮮の弾道ミサイル対処を想定したミサイル防衛関連経費で、今年度比1,142億円増の1,791億円。その主なものが13ページ(「弾道ミサイル攻撃への対応」)に出ています。
 42~43ページには「主要な装備品等」がまとめられています。しかし、ここには13ページに出ている高額な迎撃ミサイル
・SM-3ブロックⅡA及びSM-3ブロックⅠBの取得(657億円)
・能力向上型迎撃ミサイル(PAC-3MSE)の取得(205億円)
が見あたりません。これらの迎撃ミサイルの開発には日本も三菱重工などが参加していますが、完成品をアメリカから購入することになるのではないでしょうか。
 
新兵器の研究

 44ページには「主な研究開発(新規)」が出ています。その項目と初年度の金額は次のとおりです。
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  「主な研究開発(新規)」の項目と初年度の金額
(1) 次期警戒管制レーダ装置の開発(196億円)
(2) 島嶼防衛用高速滑空弾の要素技術の研究(100億円)
(3) 島嶼防衛用新対艦誘導弾の要素技術の研究(77億円)
(4) 移動系システムを標的としたサイバー攻撃対処のための演習環境整備に関する研究(45億円)
(5) 高出力レーザシステムの研究(87億円)
(6) EMP弾に関する研究(14億円)
(7) 将来中距離空対空誘導弾の研究(73億円)
(8) 潜水艦用静粛型駆動システムの研究(57億円)

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 (2)の高速滑空弾は、これまで聞いたことがない兵器ですが、9ページにそのイメージ図が出ています。ロケットで打上げて上空で滑空型弾頭を切り離し、弾頭が高速で滑空して目標を狙う、ミサイルの一種という感じです。
 (3)の新対艦誘導弾も9ページにイメージ図が出ています。ステルス化した長射程の巡航ミサイルという感じです。
 (5)の高出力レーザシステムは、低高度で飛んでくる大量の小型無人機や迫撃砲弾を低コストで撃ち落とすためと説明されています。高出力レーザシステムは、既に川崎重工が研究を進めています(川崎重工技報 第171号 航空宇宙特集号 高出力レーザシステム)。
 なお、大量の小型無人機攻撃については、米国防総省の実験をブログ「超小型無人機群による攻撃・実験映像」でお知らせしましたが、同じような兵器の開発を中国も進めていることが報道されました(日経ビジネス2017年9月4日号「中国のドローン中心軍事戦略」)。
 (6)のEMP弾は、北朝鮮が核実験のあとにおこなった挑発的な声明で知れ渡りましたが、高高度核爆発などで発生する電磁パルス(EMP:electromagnetic pulse)で広範囲に電子機器障害を起こすものです。使用中の医療機器を含めて電子機器が突然機能しなくなるという非人道的で国民生活に壊滅的な打撃を与える兵器です。
 (7)の将来中距離空対空誘導弾は、44ページの「概要」の欄を見ますと、日英共同研究による空中戦用の新しいミサイルのようです。
 (8)の潜水艦用静粛型駆動システムについては、「概要」の欄に、「『29年度型潜水艦』への採用を視野に入れ」と書かれていますので「平成29年度概算要求の概要」を見てみますと3ページに新型潜水艦(1隻:760億円)を建造することが書かれています。これの静粛性(隠密性)を向上させるためと思われます。さらに今回の「平成30年度概算要求の概要」の5ページには、その2番艦の建造として715億円が計上されています。
      ◇
 これらの兵器は防衛用であることが強調されていますが、多くは攻撃にも使えます。米軍と一体になって戦争ができる国を目指しているということもできます。しかも、そのためにばく大な国家予算を使おうとしています。その結果、軍拡競争の悪循環に陥っているのではないでしょうか。

    日本共産党三菱重工広製支部 2017年9月8日

2017年8月26日 (土)

三菱重工 防衛・宇宙セグメントの新事業戦略

 三菱重工は今年4月に4ドメイン制から3ドメイン制に移行していますが、各ドメインの事業戦略説明会が6月に開催されました。
  ◆パワードメイン:
     火力発電プラント、原子力、コンプレッサ、
     再生可能エネルギー、航空エンジン
  ◆インダストリー&社会基盤ドメイン:
     製鉄機械 物流機器、ターボチャージャ、
     エンジン、冷熱、機械・機器、商船・客船
     交通システム、化学プラント、環境設備
  ◆航空・防衛・宇宙ドメイン:
     民間航空機、MRJ、防衛、宇宙

防衛・宇宙セグメント
 航空・防衛・宇宙ドメインは、民間の航空会社を顧客とする民間航空機やMRJの分野と、防衛省・自衛隊を中心に政府を顧客とする防衛・宇宙の分野という異質とも言える2つの分野で構成されることになりました。
 6月に開催された航空・防衛・宇宙ドメイン事業戦略説明会の説明資料は、(1)民間機セグメント、(2)MRJ事業、(3)防衛・宇宙セグメントの3つに分けて事業戦略を示しています。この内、防衛・宇宙セグメント説明の中で防衛に関する部分を少し詳しく見てみたいと思います。

防衛・宇宙セグメントの決算と見通し
        2015年度      2016年度
 売上   4,850億円(12.0%) 4,706億円(12.0%)
 営業利益 257億円 ( 8.3%)  279億円(18.5%)
(注)%は、全社の売上に占める比率と全社の営業利益に占める比率です。

 2017年度の見通しは、売上・営業利益ともに前年度と同規模と見ています。ただし、受注については、2016年度に防衛省の「ペトリオットミサイル(MSE化)、哨戒ヘリコプター等のまとめ買いにより」前年度より2,500億円増加したため、2017年度は2016年度を下回る見通しになっています。
(注)ペトリオットミサイル(MSE化)とは、最大50%の射程の延長と機動性の向上を目指して開発されたPAC-3のミサイル部分強化型(Missile Segment Enhancement)のこと。2013年12月に閣議決定された中期防衛力整備計画(2014~2018年度)に、PAC-3 MSEの導入が明記された(ウィキペディアより)。

市場環境
 事業方針・戦略の項(説明資料 p.17~)では、「市場環境」として次の3点をあげています。
 (1)防衛装備移転三原則の閣議決定(2014年)
 (2)中期防衛力整備計画(2014~2018年度)の4年目
 (3)次期31中期防衛整備計画(2019~2023年度)、防衛大綱見直しの政府内検討中
 上記の(1)は武器輸出の原則自由化、(2)は高額兵器の購入・ノックダウン生産・開発を含んでいて、昨年度の事業戦略にも事業拡大の好機として掲げられていました。今年度は、その上に(3)が加わりました。安倍政権による軍拡は、武器・兵器のメーカーにとって絶好の機会と期待されているようです。

課題
 そのような「市場環境」の下で、第一の「課題」として、事業規模が「20年以上ほぼ横ばいで推移」しているので「事業規模拡大に向けた成長戦略が必要」としています。続いてその具体的な戦略として次のような項目が書かれています。
 成長戦略① 海外展開
  ◇F-35戦闘機(これからの取り組み)
   ・国内生産初号機納入
   ・機体納入実績を蓄積
   ・MRO&Uのための整備拠点立上げ準備
    (注)MRO&U:Maintenance,Repair,
       Overhaul,and Upgrade
  ◇SM-3共同開発・生産(これからの取り組み)
   ・政府方針に沿って共同での生産体制構築に着手
   ・契約に従い、両国配備弾向けに構成品生産・輸出
    (注)SM-3は、弾道ミサイル迎撃用ミサイルで、
      レイセオン社を中心に三菱重工も参加して
      日米共同開発。今年2月に発射実験。
  ◇新規事業(これまで培ったキー技術とチャンネルの活用)
   ・国際共同開発事業に向けて、官側と連携し推進中
   ・キーコンポーネントの海外装備品適用に向けて、
    企業間協議を実施中

 成長戦略② デュアルユース展開
  ◇サイバーセキュリティ
   ・実用化:フィールドデータの取得・蓄積
   ・民生事業への展開
   ・能力向上:機械学習による異常検知等
   ・付加価値向上:蓄積したデータの幅広い応用

 成長戦略③ 既存分野拡大
  ◇将来戦闘機(これからの取り組み)
   ・インテグレーション技術の高度化等、世界最先端技術を蓄積し、
    魅力ある事業(F-2 後継機等)提案を推進
  ◇ペトリオットミサイル(これからの取り組み)
   ・MSE化ミサイルの確実な製造・納入
   ・更なるBMD能力向上のための事業提案
    (注)MSE化:前出の(注)ペトリオットミサイル(MSE化)を参照方
    (注)BMD:弾道ミサイル防衛(Ballistic Missile Defense)

昨年度の戦略から深化
 上記の「成長戦略」を昨年度と比較してみますと、「F-35戦闘機」については、昨年度は「最終組立作業の実績を蓄積し、我が国の安全保障に貢献のために後方支援分野への参画を検討」となっていました。今年度は「MRO&Uのための整備拠点立上げ準備」となっていますから、昨年度の「後方支援分野への参画を検討」を具体化したと言えます。F-35戦闘機はアメリカを中心とする国際共同開発によるものですから、後方支援と言っても日本の自衛隊だけを対象にしたものではないととらえるべきでしょう。それは、アメリカに協力する形でアメリカに従属する軍事的一体化が進むことになるのではないでしょうか。
 「SM-3共同開発・生産」についても今年度は、「契約に従い、両国配備弾向けに構成品生産・輸出」と武器輸出の原則自由化となった「市場環境」の下で戦略を前進させています。この共同開発も、説明資料の19ページの図にありますように、ミサイル誘導部や弾頭などの重要部分はアメリカが握っていますから、アメリカに協力する形でアメリカに従属する軍事的一体化が進むことになるのではないでしょうか。
 「新規事業」についても、「チャンネルの活用」から一歩進めて「企業間協議を実施中」となっています。ただし、どのような「新規事業」が協議されているのかは明らかにされていません。
 このように「成長戦略① 海外展開」は、武器輸出の原則自由化となった絶好の「市場環境」の下で、前述の「課題」にかかげた「事業規模拡大に向けた成長戦略」の第一と考えているようです。
 
「デュアルユース展開」とは

 上記の「成長戦略② デュアルユース展開」については、昨年度は「民需展開」という言葉が使われていました。「デュアルユース(dual use 用途の両義性)」は、日本学術会議の安全保障技術研究推進制度をめぐる論争の中で度々出てきましたが、個々の技術は軍事用か民生用かのどちらかに決まっているのではなくて、軍事用にも民生用にも使用される可能性を持っていることを表した言葉です。
 サイバーセキュリティは軍事面でも非常に重要な課題ですから、三菱重工も早くから取り組み、軍事で培った技術を民生事業に展開することを進めています。その点からは「民需展開」という言葉が的を射ていると思われますが、今年度はそれを「デュアルユース展開」と表現しています。これは「民需展開」だけでなく、先行している民生技術を軍事用に転用することにも取組んでいるのかもしれません。

成長戦略③ 既存分野拡大
 将来戦闘機については、昨年度、初飛行に成功して以降、三菱重工・防衛省(防衛装備庁)・米軍の間で検討が進められているのでしょうか、今のところ表立った変化は見られません。
 ペトリオットミサイルは、昨年度の戦略には掲げられていませんでした。昨年度は新型護衛艦が掲げられていました。三菱重工が公表する事業戦略は主なものだけが示されるでしょうから、前面に出るものが変わることは当然ですが、今年度は北朝鮮の挑発・米朝間の緊張を背景にミサイル防衛に使用するペトリオットミサイルを前面に出したのかもしれません。護衛艦については、2015、2016年度に連続してJMU(ジャパンマリンユナイテッド)が受注していましたが、今年度は三菱重工が受注しましたので一段落したのかもしれません。

    日本共産党三菱重工広製支部 2017年8月26日

2017年8月17日 (木)

勢いづく軍産複合体

 「よみがえる軍産複合体の幻影」と題する記事(2017年8月11日 日経)は、米軍需「ビッグ5」の株価が大きく上昇していることを伝えました。今年7月4日に北朝鮮が1発目の大陸間弾道ミサイル(ICBM)を発射して以来、米朝間の緊張が高まる中で、最大の武器製造企業であるロッキードの株価は11%上昇し、この間のS&P500(アメリカの株価指数の一つ)の0.3%高を大幅に上回っていると伝えました。さらに、ロッキードだけでなく、米軍需「ビッグ5」の株価がすべて上昇していること、その背景にはトランプ大統領が2月に18会計年度(17年10月~18年9月)予算案で軍事費を17会計年度の10%増(540億ドル/約6兆円増)の方針を打ち出したがあると言っています。ということは、米朝間の緊張がやわらいだとしても米軍需企業の活況は続くことになりそうです。

米軍需「ビッグ5」のデータ
 ストックホルム国際平和研究所(SIPRI)発表の「世界の軍事企業上位100社(中国を除く)」から米軍需「ビッグ5」のデータを見てみますと、2015年については次のようになっています。なお、米軍需「ビッグ5」とは次の5社です。
  ロッキード・マーチン
  ボーイング
  レイセオン
  ノースロップ・グラマン
  ゼネラル・ダイナミクス
--------------------------------
 米軍需「ビッグ5」2015年のデータ(金額の単位:100万ドル)
  
順位  企業名 武器の 全社の  比率  全社の    全社の
           売上高 売上高   (注)  利益 (%)  従業員数
1位 ロッキード 36440   46132  79%  3605( 7.8%) 12万6000人
2位 ボーイング 27960   96114  29%  5176( 5.4%) 16万1400人
4位 レイセオン 21780   23247  94% 2067(11.2%) 6万1000人
5位 ノースロップ20060   23256  86% 1990( 8.6%)  6万5000人
6位 ゼネラル.D 19240   31469  61%  2965( 9.4%)  9万9900人
    合計   125480   220218  57%  15803( 7.2%)  51万3300人
 

  (注) 比率=武器の売上高÷全社の売上高×100
  全社の利益の(%)は、全社の利益÷全社の売上高×100
  金額の単位は100万ドルです。ロッキードの武器の売上高は364億4000万ドル、全社の売上高は461億3200万ドルとなります。
  順位は、「世界の軍事企業上位100社(中国を除く)」の順位です。3位が抜けていますが、3位はイギリスの BAE Systems です(ご参考:ウィキペディア「BAEシステムズ」)。
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 ロッキードの武器の売上高364億4000万ドルは、1ドル110円で換算しますと約4兆円ですから、三菱重工の全社売上高と同規模で、三菱重工の軍需部門の約10倍です。
 5社の武器売上高合計 1254億8000万ドルは約140兆円。5社の従業員数が51万3300人。さらに、「世界の軍事企業上位100社(中国を除く)」の中には5社を含めてアメリカの企業が全部で43社含まれています。さらに、その周りには部品の加工・供給など広いすそ野が広がっていますし、大学などにはばく大な軍事研究資金が注がれています。このように巨大な武器業界・軍事ビジネスがアメリカの社会、政治、経済に大きな影響力を持っていても不思議ではありません。

(ご参考)世界の軍事企業トップ100(中国を除く)への行き方
  ストックホルム国際平和研究所(SIPRI)のHome→
  Databases→ 
  SIPRI Arms Industry Database→
  Data for the SIPRI Top 100 for 2002-15 (Excel)
  データはエクセルで表示されます。

軍産複合体
 冒頭で紹介した記事はアメリカの軍需産業と政権の結びつき・癒着の一端を次のように述べています。
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 マティス国防長官はビック5の一角、ゼネラル・ダイナミクスの元取締役。トランプ政権の政府高官への米軍需産業の浸透度合いはかなりのものだ。トランプ政権には軍人出身も多く、特に国防・安全保障分野は軍・軍需産業出身者が幅を効かせる。
  「よみがえる軍産複合体の幻影」(2017年8月11日 日経)より
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 このあと同記事は、冷戦時代に「軍需産業が政官と一体となり国の政策を動かした勢力『軍産複合体』」の復活は考えずらいと書いていますが、はたしてそうでしょうか? 巨大な武器業界・軍事ビジネスが、ときには日が当たらないことがあっても基本的にはずっと続いてきていて、アメリカ軍部との結びつきも継続していることでしょう。
 「しんぶん赤旗」は冷戦終結後も「軍産複合体」の危険性に警鐘を鳴らしています。
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 「軍産複合体」というのは、アイゼンハワー米大統領が1961年の離任演説でのべた警告で、アメリカ資本主義の危険な側面の一つをえぐり出した名言として知られています。アメリカでは、軍部と産業界が幾重にも結び、何百万という人間と、何十億ドルというばく大な金を駆使し、全米の都市、州議会、連邦政府の各機関、マスメディアなどに浸透し、影響力を行使。イラク戦争でもばく大な利益をあげています(軍産複合体って? 赤旗 2004年11月25日 より)。
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 そして今、軍産複合体はトランプ軍拡と米朝間の緊張を受けて勢いづいているのではないでしょうか。
 
日本の場合

 このような動きに日本は決して無関係ではありません。安倍政権が北朝鮮との軍事的な対決姿勢を強める中で、軍事関連企業の株価が急騰しています。
 より根本的には安倍政権がアメリカへの追従を強めながら軍拡志向を明確にしていることがあります。その結果、日本の軍需企業はアメリカの軍産複合体により深く組み込まれながら増強することが考えられます。
 三菱重工の軍需部門は2018年度から「従来枠組みを打破し事業規模拡大」という戦略を打ち出しています(防衛・宇宙事業戦略説明会 2016年6月10日 p.26)。

    日本共産党三菱重工広製支部 2017年8月16日

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